ホールデン・ノバ

オーストラリアで愛された小型車ノバ：カローラを凌駕した成功

ノバは、1989年から1996年までオーストラリアでトヨタが生産し、ホールデンが販売した小型車です。その歴史は、オーストラリア自動車産業における合理化政策『バトンプラン』と深く関わっています。バトンプランは、結果的には失敗に終わりましたが、ノバ自身はオーストラリア市場で大きな成功を収めました。

ノバは、トヨタカローラのE90型およびE100型をベースとしたバッジエンジニアリングモデルです。ステーションワゴンモデルは設定されず、セダンとハッチバックモデル（日本名：カローラFX）のみがラインナップされました。この戦略は、オーストラリアの消費者の嗜好を的確に捉えたと言えるでしょう。カローラもオーストラリアで販売されていましたが、ノバはカローラを上回る販売台数を記録し、その人気を証明しました。

初代ノバ(LE/LF型)：1989年から1993年

1989年、バトンプランの一環としてホールデンを通じて販売が開始された初代ノバ(LE型)は、1.4Lと1.6Lのエンジンを搭載していました。1.4Lエンジンはハッチバックモデルのみに設定されていました。グレードはSL、SL/X、SL/Eの3種類が設定され、それぞれのグレードで異なるエンジンや装備が提供されていました。

1991年10月には、マイナーチェンジを行いLF型となりました。1.6Lエンジンの出力向上、そして1.8Lエンジンの追加が主な変更点です。1.8Lエンジンは、GSハッチバックに搭載されました。その後、1993年にはSL/Eモデルと1.4Lエンジンが廃止され、グレード体系も再編されました。SL/Xには1.6Lエンジンが搭載され、よりパワフルな走行性能が提供されました。

2代目ノバ(LG型)：1994年から1996年

1994年、カローラE100型をベースとした2代目ノバ(LG型)が登場しました。初代モデル同様、オーストラリア市場で高い人気を獲得し、ベースモデルであるカローラを上回る販売台数を記録しました。グレード体系はSL、SL/X、GSの3種類で、GSには1.8Lエンジン、SL/Xには1.6Lエンジンが搭載されていました。

1996年、後継車種であるホールデンTRアストラが登場し、ノバの歴史に幕を閉じました。しかし、ノバはバトンプランという失敗した政策の中で誕生しながらも、オーストラリア市場において確固たる地位を築き、多くの消費者に愛された一台と言えるでしょう。その成功は、オーストラリアの消費者のニーズを的確に捉えたモデル戦略と、トヨタの信頼性に基づく高い品質によるところが大きかったと考えられます。ノバは、オーストラリア自動車史において、重要な一台として記憶されています。

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