ホーンコートの戦い

ホーンコートの戦い

ホーンコートの戦い（1642年5月26日）は、三十年戦争の一環として、フランスとスペインの間で激しく行われた戦闘です。この戦いは、ノール＝パ＝ド＝カレー地域のオヌクール・スュール・エスコーで起こりました。ホーンコートという名称は、Honnecourtの英語表記に由来しています。

この戦闘の背景には、フランスのリシュリューが重要な戦略を取ったことがあります。彼は南フランス、特にルシヨン地域の要塞都市ペルピニャンを制圧するために、北フランスの都市に最低限の守備隊を残し、主力を南に集中させました。これに対抗する形で、スペイン軍の司令官フランシスコ・デ・メロは攻勢を強め、1642年4月19日にはランスを占領し、さらに22日にわたる包囲の後に要衝ラ・バセを奪取しました。

このような状況の中、フランス軍は援軍の見込みが薄く、守勢に回らざるを得ませんでした。各地の要塞に立てこもるフランス軍は、ラ・バセの陥落によって分断され、アルクールが指揮する部隊はブローニュ＝シュル＝メール方面へ、ギーシュが指揮する部隊はシャンパーニュやヴェルマンドワへと退きました。ギーシュはやむを得ず会戦を決意し、スヘルデ川を防衛線とせず、ホーンコート近くの丘に陣を構えました。彼は軍の中央に歩兵を配置し、両翼に騎兵と砲兵を配置してスペイン軍の攻撃に備えました。

1642年5月26日、戦闘が始まりました。スペイン軍の砲撃が開始され、最初はスペイン軍左翼の騎兵部隊とイタリアのテルシオがフランス軍右翼へ攻撃を仕掛けましたが、これを撃退しました。フランス軍は西の師団の砲兵を沈黙させるために騎兵突撃を行いましたが、ワロンのテルシオ歩兵によって阻まれ、混乱が生じました。一方で、スペイン軍の攻撃は続き、最終的にフランス軍の左翼騎兵が耐えきれずに敗走しました。これによりフランス軍中央も崩壊し、スペイン軍は多くの捕虜を得て、大砲も鹵獲しました。

この戦いの結果、フランス軍は甚大な損害を被りました。3,200名が戦死し、3,400名が捕虜となり、さらに500名が戦傷や脱走に至りました。戦闘後、ギーシュの元に集結した兵士はわずか1,600名で、その大部分は騎兵でした。一方、スペイン軍の損害は比較的軽微で、約500名でしたが、デ・メロは戦闘の続行を避けました。そのため、スペイン軍は追加の成果を挙げることはありませんでした。

ホーンコートの戦いは、結果としてスペイン側に大勝利をもたらしましたが、これが戦争全体の大勢に大きな影響を及ぼすことはありませんでした。この後、スペインはペルピニャンを中心としたカタルーニャ地方北部を失うこととなるのです。

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