ボウイ&キーチ

『ボウイ&キーチ』（原題：Thieves Like Us）は、1974年に公開されたアメリカ合衆国の犯罪ドラマ映画です。ロバート・アルトマン監督がメガホンを取り、キース・キャラダインとシェリー・デュヴァルが主演を務めました。

この作品は、ニコラス・レイ監督による1955年の映画『夜の人々』と同じ原作、エドワード・アンダーソンの小説を基にしています。しかし、アルトマン監督は原作を忠実に再現するのではなく、自身の解釈を加え、独特の雰囲気を持つ作品に仕上げました。

物語は、刑務所から脱獄した3人の男たちの逃避行から始まります。彼らは強盗を繰り返しながら、各地を転々としながら逃亡生活を送ります。その中で、主人公であるボウイ（キース・キャラダイン）は、宿屋の娘キーチ（シェリー・デュヴァル）と出会います。

ボウイはキーチに惹かれ、二人は次第に愛を育んでいきます。しかし、彼らの逃亡生活は、常に危険と隣り合わせです。彼らは、高額の賞金首であることを知り、警察の追跡を逃れながら生き延びなければなりません。

逃亡中、ボウイは交通事故に遭い、キーチのいる宿屋に身を隠します。そこで、二人は静かな時間を過ごし、互いの愛を確かめ合います。しかし、彼らの平穏な日々は長くは続きません。仲間の一人が命を落とし、もう一人は逮捕されてしまいます。

残されたボウイとキーチは、仲間の義妹が経営するモーテルに身を寄せます。そこで、ボウイは保安官に扮し、逮捕された仲間を救出する大胆な行動に出ます。しかし、救出された仲間がキーチを侮辱したことに激怒したボウイは、彼を置いて行ってしまいます。

そして、衝撃の結末が待ち受けていました。キーチは、ボウイに内緒で警察に通報していました。モーテルに帰ってきたボウイは、キーチの目の前で射殺されます。キーチは、ボウイの子を身ごもったまま、悲しみに暮れながら列車に乗り込み、物語は幕を閉じます。

キャストには、キース・キャラダイン、シェリー・デュヴァル、そしてルイーズ・フレッチャーといった実力派俳優が名を連ねています。ルイーズ・フレッチャーは、本作への出演がきっかけで、後にアカデミー賞を受賞する『カッコーの巣の上で』の看護婦長役へのオファーを受けたという逸話も残されています。

衣装デザインを担当したのは、ポリー・プラット。彼女は、『ブロードキャスト・ニュース』や『ローズ家の戦争』といった名作にも携わった、ハリウッドを代表する衣装デザイナーの一人です。

『ボウイ&キーチ』は、犯罪、逃避行、そして愛といった様々な要素が複雑に絡み合い、観る者の心を揺さぶる作品です。アルトマン監督独特の演出と、俳優たちの熱演が、この物語に深みとリアリティを与えています。ラストシーンの衝撃的な結末は、観終わった後も長く記憶に残ることでしょう。この作品は、犯罪映画の枠を超え、人間の業や愛の脆さを描いた、普遍的なテーマを持つ作品として高く評価されています。

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