ボサンスキ・ペトロヴァツ

ボサンスキ・ペトロヴァツ：歴史と自然が織りなすボスニアの街

ボサンスキ・ペトロヴァツは、ボスニア・ヘルツェゴビナ北西部に位置する都市であり、ウナ・サナ県に属しています。その歴史は古く、ローマ時代の街道沿いに位置していたことから、古くから人々の生活が営まれてきました。

地理

この街は、ビハチとサラエヴォを結ぶ国道5号線沿いに位置しています。紛争前は853平方キロメートルだった市の面積は、紛争終結後のデイトン和平合意によって一部がスルプスカ共和国へと分離し、現在は717平方キロメートルとなっています。市域の約3分の2は森林に覆われており、豊かな自然が特徴です。

市域は肥沃な渓谷地帯と丘陵地帯に分かれており、渓谷地帯では農業が盛んです。渓谷を取り囲む山々は標高1795メートルに達し、大陸性の気候をもたらします。平均気温は、最も高い7月で摂氏20度から22度、最も低い12月と1月では-2度から2度程度です。

歴史

ボサンスキ・ペトロヴァツは、第二次世界大戦中にはティトー率いるパルチザンの拠点となり、その名残としてパルチザンの病院跡が残っています。戦後には、この地出身の詩人、スケンデル・クレノヴィッチの博物館が建てられました。

1990年代のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では、市街地自体は大きな破壊を免れたものの、周辺の村々は大きな被害を受けました。また、セルビア人とボシュニャク人の混在率が高かったため、紛争の激戦地となりました。

紛争前はセルビア人が多数派を占めていましたが、紛争とそれに伴う人口移動により、人口構成は大きく変化しました。

住民

1991年の国勢調査では、自治体の人口は15,621人で、セルビア人が74.9%、ムスリム人が21%を占めていました。しかし、紛争後の1998年には、ボシュニャク人が多数派となり、セルビア人の数は大幅に減少しました。この背景には、市域の一部切り離しに加え、紛争による避難や強制追放が大きく影響しています。

ボサンスキ・ペトロヴァツは、豊かな自然と歴史的背景を持つ魅力的な都市です。紛争の傷跡は残るものの、復興に向けて歩みを進めています。

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