ボストン山中商会

ボストン山中商会の歴史と概要

ボストン山中商会（Yamanaka & Co. Inc., Boston）は、1897年に設立されたアメリカボストンにおける日本の重要な美術商の支店として、その名を広めました。元々、大阪に本社を構える山中商会の支店として機能し、アメリカにおける日本の美術や文化の普及に貢献しました。ボストンにおいて、同商会は日本の工芸品や美術品を提供し、特に日本庭園の構築や盆栽の輸入を行うことで知られていました。

設立初期の状況

1897年、山中商会はアマノと共同で「山中・アマノ社」を設立し、1898年にはボストン山中商会として正式に支店を運営することになります。設立当初から、ボストン山中商会はドーチェスターに園芸部門を置き、様々な日本の植物や石灯籠を扱い、日本庭園の構築を請け負いました。また、サマー・ストリートでは卸売部門を開設し、小売業者や百貨店に工芸品や雑貨を卸しましたが、事業は長続きしなかったようです。

苦境と存続への努力

1909年、業績不振から大阪本社で一時的な閉店が協議されましたが、ボストンの市民の声が届けられ、結果的に存続を果たします。この時の市民の声は、日本文化に対する理解と支持を反映したものであり、地元の人々は日本の美術の重要性を認識していたことが伺えます。1917年には、山中繁次郎が持つ株式が山中商会によって買収されました。

法人化と文化的活動

1935年にはマサチューセッツ州法に基づいて株式会社に改組し、同時にボイルストン・ストリート456番地から424番地に移転しました。1936年にはボストン美術館での「日本美術品展」に合わせた展示を行い、文化外交を通じて排日感情の払拭に努めました。これにより、アメリカにおける日本美術の認知度を高め、文化的な懸け橋となることを目指しました。

戦争の影響と閉店

しかし、1939年度には24,400ドル、1940年度には8,259ドルという赤字を出すなど、経営は厳しい状況に直面しました。さらに1941年には日本の仏印進駐を受けて在米日本資産凍結令が発令され、事業運営が困難になります。大阪本社においてボストンとシカゴ店をニューヨーク店に統合する決議が行われましたが、1941年12月7日の真珠湾攻撃により、ボストン山中商会は即日財務省の管理下に置かれ、閉店しました。その後も一時再開しようとしましたが、最終的には1943年7月30日に閉店となりました。

重要人物

ボストン山中商会には多くの重要な人物が関わりました。店長の森本鋠太郎、開店当初からの森田太三郎などがそのメンバーです。また、接収前の取締役社長であった山中吉太郎や、副社長の八橋春通は商会の運営に重要な役割を果たしました。接収後はラルフ・E・ウェッジワースが取締役社長、ハワード・I・ラージが事務員として活動しました。

まとめ

ボストン山中商会は、日本の美術や文化をアメリカに広める重要な存在でした。しかし、戦争や経済の変動に左右され、最終的にはその歴史を閉じることになりました。この商会の活動を通じて、日本文化の普及と理解が促進されたことは、今日に至るまで影響を与えています。

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