ボストーク湖

南極の秘境、ボストーク湖

ボストーク湖は、南極大陸の氷床下約4キロメートルに位置する巨大な氷底湖です。ヴォストーク湖とも呼ばれ、その存在は長らく謎に包まれていました。湖はロシアのボストーク基地近く、南緯77度、東経105度地点にあります。

地形と特徴

ボストーク湖は、最大幅40キロメートル、長さ250キロメートルにも及ぶ広大な湖で、二つの水盆に分かれています。水深は、水盆を隔てる尾根部分で約200メートル、北側の水盆で約400メートル、南側の水盆では最大800メートルと推定されています。総面積は1万4,000平方キロメートルに達し、これは琵琶湖の20倍以上にも相当します。総貯水量は5,400立方キロメートルと推定され、淡水であると考えられています。

平均水温は-3℃と、通常の真水の氷点下を下回ります。これは、上部の氷床による高圧によって水が液体を保っているためです。また、湖底からの地熱や、分厚い氷床が断熱材として機能していることも、この極寒の地で液体の水が存在する理由として考えられています。

探査の歴史

1960年代後半から70年代初頭にかけて、上空からの氷透過レーダー調査によってボストーク湖の存在が確認されました。その後、1998年には、ロシア、フランス、アメリカの共同チームがボストーク基地で研究を行い、深度3,628メートルまでコアの掘削と分析を実施しました。この時、湖の頂上付近から採取された氷のサンプル分析により、その氷が約42万年前に形成されたことが判明。これにより、湖が50万年から100万年の間、氷に閉ざされていた可能性が示唆されました。湖水の汚染を防ぐため、コアの掘削は氷床と湖水の境界面から120メートルの地点で中断されました。

2005年には、ドイツ、ロシア、日本の研究チームによって、湖に潮汐があることが発見されました。太陽と月の位置によって湖面が1、2センチメートル上昇することが確認され、この湖面の変動が、微生物の生存に必要な水の循環を促進するポンプのような役割を果たしていると考えられています。また、同年5月には、湖の中央部に島が存在することが明らかになりました。

2006年1月には、コロンビア大学の研究者がボストーク湖よりも小さい二つの湖が氷床下にあることを発表し、南極の氷床下には他にも多くの湖が存在する可能性が示唆されました。

そして2013年2月、ロシア北極南極科学調査研究所の調査隊が、1989年の掘削開始以来、初めてドリルをボストーク湖に到達させることに成功しました。これにより、湖水のサンプル採取やさらなる調査が進められることが期待されています。

関連事項

• - 南極大陸
• - 氷底湖
• - 世界一の一覧

ボストーク湖は、地球上で最も過酷な環境の一つに存在しながら、独自の生態系や地質学的特徴を持つ可能性を秘めた場所です。今後の調査によって、更なる謎が解明されることが期待されます。

もう一度検索