ボズネセンスクの戦い

ボズネセンスクの戦い：ウクライナ南部での激戦

2022年3月、ロシアによるウクライナ侵攻の中で、ボズネセンスクを舞台に激しい戦闘が繰り広げられました。この戦いは、ロシア軍がヘルソン占領後、ムィコラーイウへの進軍を図る中で発生したもので、ウクライナ軍の抵抗によってロシア軍の進撃は食い止められました。

戦いの背景

ボズネセンスクは、南ブーフ川に架かる橋があり、南ウクライナ原子力発電所に近いという戦略的な重要性から、ロシア軍にとって重要な目標とされていました。この地域はロシア語話者が多数を占める地域でもあり、ロシア軍は早期の占領を目指していました。

第一次攻防戦

3月2日、ロシア黒海艦隊の部隊が、ムィコラーイウから北西へ進軍を開始しました。この部隊は兵士400人と戦車43両からなると推定されています。ロシア軍は南ブーフ川を渡る橋を目標に進軍しましたが、ウクライナ軍の抵抗に直面しました。

ボズネセンスク市長であり、指揮官の一人であるエウヘニー・ヴェリチコは、地元のビジネスマンがウクライナ軍に協力し、道路にバリケードを設置、川に架かる橋を破壊したと述べています。また、川岸を掘り下げることでロシア軍の渡河を阻止しました。

戦闘は激戦となり、ロシア軍は砲撃を開始、複数の建物が損害を受けました。ロシアの空挺部隊が南西部に投入され、戦車部隊が南西から進軍し、近隣のラコベに侵入しました。狙撃兵が家屋に拠点を築き、ロシア軍はガソリンスタンドを基地として利用しました。装甲兵員輸送車はウクライナ領土防衛隊の基地を砲撃し、ウクライナ兵士に犠牲者が出ました。しかし、ロシア軍はボズネセンスクへの侵入を許されませんでした。

日暮れには、ロシアの戦車が都市を砲撃しましたが、ウクライナ軍の反撃を受け後退。ウクライナ軍はロシア陣営を砲撃し、複数のロシア戦車を破壊しました。アメリカが供給したFGM-148 ジャベリンで攻撃を行い、少なくとも戦車3両を破壊し、ロシアのMil Mi-24を撃墜することにも成功しました。3月3日には、ロシア軍は装備と車両を放棄し撤退を開始しましたが、撤退中にラコベを砲撃し、病院に直撃弾を与えるなど、村を荒らしました。ロシアの戦車隊は、南東64キロメートルの地点まで撤退しました。

この戦いで、ロシアの戦車30両が放棄され、うち15両がウクライナ軍によって鹵獲されました。現地当局によれば、ロシア軍の兵士約100人が戦死し、10人が捕虜になったとされています。ウクライナ軍は、主に領土防衛隊に死傷者が出ており、市民12人が戦闘で命を落としました。

第二次攻防戦

3月9日、ロシア軍は再びボズネセンスクへの攻撃を再開しました。ウクライナ軍は破壊された橋付近で防御態勢を整えました。翌日、ロシア軍は一時的に占領しましたが、ウクライナ軍は3日後の13日に奪回に成功しました。

その後の状況

ウクライナ軍は、ロシア軍が再び攻撃してくると想定し、第二次攻勢以降、都市の要塞化を進めています。ボズネセンスクの戦いは、ウクライナ軍がロシア軍の進撃を食い止めた重要な戦いの一つとして記憶されています。

この戦いは、ロシア軍の戦略的な目標を阻み、ウクライナ軍の勇敢な抵抗を示すものとなりました。また、地元のビジネスマンや市民がウクライナ軍に協力し、防衛に貢献したことも特筆すべき点です。

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