ボック (ビール)

ボック (Bock)

ボックは、ドイツ発祥のビールスタイルの一つです。特に南ドイツ地方で発展し、多様なバリエーションが存在します。一般的にアルコール度数が高めなのが特徴です。

概要

ボックは、ドイツのアインベックという都市が発祥の地とされています。下面発酵で作られることが多いですが、上面発酵のものも存在します。

ボックのラベルには、雄ヤギが描かれていることがよくあります。これは、ドイツ語で「Bock」が雄ヤギを意味することに由来します。

名前の由来には諸説あり、発祥の地であるアインベックから取られたという説と、飲んだ人が「若い雄ヤギのように元気になる」から名付けられたという説があります。

ボックの種類

ボックには、様々な種類が存在します。

トラディショナル・ボック

ボックの中で最も伝統的なスタイルです。17世紀頃から作られており、重厚な麦芽の風味が特徴です。液色は濃色です。

ビアスタイル・ガイドライン1208では、トラディショナル・ボックは以下のように定義されています。

色合い: ディープ・カッパーからダーク・ブラウン
アロマ: トーストやナッツのような麦芽の香り
ホップ: フレーバー、アロマ共に弱い
アルコール度数: 6.3%から7.5%
IBU: 20から30
SRM: 20から30

ヘレスボック / マイボック

ヘレスボックは、「淡いビール」を意味する「Hellbier」の略称であるヘレスという名前がついています。19世紀頃に誕生しました。

トラディショナル・ボックに比べて液色が淡く、ドライで苦味が強いのが特徴です。5月に飲まれることが多いため、「マイボック」とも呼ばれます。

ビアスタイル・ガイドライン1208では、ヘレスボックは以下のように定義されています。

アルコール度数: 6.3%から8%
IBU: 20から38
SRM: 4から10

ドッペルボック

ドッペルボックは、アルコール度数が高く、麦芽の甘味が強いのが特徴です。アロマはトースト香が主体です。

ビアスタイル・ガイドライン1208では、ドッペルボックは以下のように定義されています。

アルコール度数: 6.5%から8%
IBU: 17から27
SRM: 12から30

アイスボック

アイスボックは、ドッペルボックを凍らせて氷を取り除くことでアルコールを凝縮させたビールです。

伝説によると、1890年頃の冬に、バイエルン州クルムバッハのビール醸造所の弟子が、誤ってビール樽を外に放置してしまったことがきっかけで誕生したと言われています。凍結した水分を取り除いた結果、非常に良い味わいになったとされています。

ビアスタイル・ガイドライン1208では、アイスボックは以下のように定義されています。

色合い: ディープ・カッパーからブラック
ホップ: 苦味は非常に弱く、フレーバーとアロマはほとんど感じられない
アルコール度数: 8.6%から14.4%
IBU: 26から33
SRM: 18から50

ヴァイツェンボック

ヴァイツェンボックは、小麦を主原料として造られるボックです。酵母を含んでいるため、濁っているのが特徴です。アロマはクローヴやバナナのような香りがありますが、ダークなものからは通常のボックと同様のトースト香も感じられます。

ビアスタイル・ガイドライン1208では、ヴァイツェンボックは以下のように定義されています。

色合い: ゴールドからダーク・ブラウン
ホップ: 苦味は弱い
アルコール度数: 6.9%から9.3%
IBU: 15から25
SRM: 4.5から30

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