ボディ (カリフォルニア州)

カリフォルニアのゴーストタウン、ボディ

ボディは、アメリカ合衆国カリフォルニア州の東部、シエラネバダ山脈の麓に位置していた、かつての鉱山都市です。標高2,550mの高地にあり、保養地として知られるタホ湖の南約120kmに位置していました。19世紀後半のゴールドラッシュで栄え、最盛期には10,000人近い人々が暮らしていましたが、20世紀に入ると金が掘り尽くされ、大火に見舞われたこともあり、急速に衰退し、ゴーストタウンとなりました。現在は、国定歴史建造物および州立歴史公園に指定され、歴史的な遺産として保護されています。

金鉱発見と急速な発展

1859年、この地でW・S・ボディによって金の鉱脈が発見されました。ボディという地名は、この発見者の名前に由来しています。しかし、発見者のボディは、物資調達の旅の途中で吹雪に遭い、命を落としてしまいました。
当初、ボディは小規模な鉱山キャンプに過ぎませんでしたが、1876年にスタンダード社が商業採掘可能な金鉱脈を発見すると、急速に鉱山町として発展しました。さらに1878年にも近隣で豊富な鉱脈が見つかり、1880年頃には人口が10,000人近くにまで増加しました。

ゴールドラッシュに沸くボディは、無法地帯としても知られていました。全盛期には60軒ものバーが軒を連ね、殺人や暴動、馬車のハイジャックなどが日常茶飯事でした。また、ボディに引っ越す一家の少女が「さようなら、神様。私たちはボディに行きます」と祈ったという逸話もありますが、地元の記者は少女は「すばらしいわ。神様の思し召しで、私たちはボディに行くの」と祈ったのだと主張したそうです。

ボディで採掘された金は、ネバダ州の州都であるカーソンシティに送られ、そこからサンフランシスコの造幣局へと輸送されました。金輸送の際には、武装した護衛が同行していました。

電力供給と町の特徴

ボディには電力も供給されていました。1893年、スタンダード社は約20km離れたグリーン川に水力発電所を建設しました。この発電所は、当時の長距離送電の先駆けの一つとなりました。

ボディにはチャイナタウンもあり、数百人の中国人が暮らしていました。彼らは野菜や薪の販売、洗濯サービスなどで生計を立てていました。町の外れには墓地があり、その近くには遺体安置所がありました。この遺体安置所は、夏の暑さによる遺体の腐敗と悪臭を防ぐために、唯一レンガ造りの建物でした。

当時の鉱山町によく見られたように、ボディにも赤線地帯がありました。売春婦のローザ・メイは、伝染病が流行した際に献身的な看護を行い、多くの住民の命を救いました。しかし、売春婦であったために、町の墓地に葬られることは許されませんでした。町の中心には鉱夫たちの労働組合の本部があり、住民の集会所として利用されました。現在では、この建物は町の歴史を伝える「博物館」のような役割を果たしています。

衰退と現在の姿

19世紀後半に繁栄を極めたボディでしたが、20世紀に入ると金の採掘量が減少し、町は急速に衰退しました。1932年には大火に見舞われ、街の中心部が焼失したことも、衰退を加速させる要因となりました。20世紀後半まで細々と人が住んでいましたが、やがて完全に無人となり、ゴーストタウンと化しました。

1961年には国定史跡に、1962年には州立歴史公園に指定され、現在は当時の面影を残す建物や街並みが保存されています。州立公園のレンジャー事務所は、かつての民家を再利用したものです。訪れる人々は、かつて10,000人が暮らした町の跡地を散策し、当時の生活を垣間見ることができます。家屋には当時の家具や内装がそのまま残されており、住民が去った時のまま時が止まっているかのようです。ボディは一年中開園していますが、冬季は積雪のため閉鎖されることが多く、観光シーズンは夏季になります。

厳しい気候

ボディは砂漠地帯に位置し、標高が高く、風の強い高台にあるため、気温の日較差・年較差が非常に大きいのが特徴です。夏の日中は非常に暑くなりますが、夜は冷え込みが厳しくなります。冬は氷点下15度を下回ることもあり、毎秒45mに達する強風が吹き荒れることもあります。19世紀の住民は、このような厳しい気候の中で生きるために、多くの薪を備蓄する必要がありました。周辺に木が少ないのも、その影響と考えられています。1878年から1879年の冬は特に厳しく、多くの人が寒さによって亡くなりました。

ボディは、ゴールドラッシュの興亡、厳しい自然環境、そして人々の生活の痕跡を今に伝える貴重な場所です。

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