赤線

赤線とは

赤線（あかせん）は、1946年にGHQが公娼制度を廃止してから1958年の売春防止法施行までの間に、半ば公認の状態で売春が行われていた日本の特定地域を指します。この区域は「赤線区域」や「赤線地帯」とも呼ばれ、戦後の日本における風俗営業の変遷に深く関わっています。

赤線の背景

1946年の1月、日本の民主化改革の一環としてGHQは日本政府に公娼制度の廃止を求めました。これを受け、長らく続いた娼妓制度が廃止されることとなり、戦前の取り締まり法令が無効となりました。この決定により、前借金で女性を拘束する人身売買の禁止が始まりました。しかし、公娼の合法化が煽った街娼の増加は警察の取り締まりを困難にしました。

具体的には、警視庁は当初「夜の女」と称される街娼を検挙し続け、定期的に「狩り込み」行為が行われました。特に東京では、吉原や新宿二丁目などの地域で、風俗営業の許可を得た飲食店が次々とオープンしました。こうして、家賃を支払う「女給」として働く女性たちは、従来の娼妓という立場から転換を余儀なくされました。

赤線の語源

「赤線」という言葉は、この区域を示すために警察が地図上に赤い線を引いて表示していたことに由来しています。戦後にはカストリ雑誌で「特飲街」という言葉が使われましたが、「赤線」という言葉が広く普及したのは1950年代に入ってからです。この時期、人身売買や区域外への進出が問題視されるようになりました。

主要な出来事

1950年、東京大田区のカフェー業者が新たな地域で営業を試みた際、地元住民による反対運動が起こり、これが「池上特飲街事件」と呼ばれました。この事件を契機に、国会での調査が行われ、現行法では対処できないとされ、関連する法律の改正が進められることとなります。

また、1951年には参議院の調査が行われ、赤線区域についての議論が盛んに行われました。1952年には人身売買事件が取り上げられ、厚生事務次官が赤線区域について黙認を認める証言を行いました。

赤線の廃止

1958年に売春防止法が正式に施行されると、赤線内の飲食店などは一斉に廃業を余儀なくされました。それ以降、業者たちはバーやスナック、ソープランドなどの業態へと移行することなどがありました。

文化的影響

赤線の存在は文学や映画においても取り上げられ、多くの作品がそのテーマを扱っています。吉行淳之介の作品や、溝口健二や神代辰巳の映画などが特に知られています。さらに、ゲームの題材としても多く取り上げられており、当時の社会状況を反映した作品が制作されています。

まとめ

赤線は日本の性風俗史において重要な位置を占めており、戦後日本の社会変革と文化の中で様々な形で影響を与えてきました。その歴史を理解することは、現代における性風俗ひいては社会の在り方を考える上で欠かせない要素と言えます。

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