ボニファーチオ・ディ・カノッサ

ボニファーチオ・ディ・カノッサは、985年に生まれ、1052年に没したカノッサ伯、トスカーナ辺境伯です。彼はカノッサ家出身で、神聖ローマ帝国時代にレッジョ、モデナ、マントヴァ、フェラーラといった地域を支配しました。その生涯は、当時のイタリアにおける政治情勢と深く結びついています。

生い立ちと初期の活動

ボニファーチオは、ランゴバルド族の血を引くアダルベルト・アットーの孫にあたります。父はテダルド・ディ・カノッサ、母はボゾン家出身とされるウィラです。兄弟には、兄テダルト（アレッツォ司教）と弟コッラードがいました。コッラードは後にボニファーチオと対立し、1030年に亡くなっています。

神聖ローマ皇帝への忠誠

ボニファーチオは、生涯を通じて神聖ローマ皇帝を支持しました。1014年には、ロンバルディアの領主たちが皇帝ハインリヒ2世に対して起こした反乱を鎮圧しています。また、1026年には皇帝コンラート2世がイタリア王位を主張した際、アキテーヌ公ギヨーム5世と争ったコンラート2世に味方しました。この功績により、1027年にトスカーナ辺境伯の地位を与えられました。さらに、1034年にはブルグント王国の継承をめぐり、コンラート2世とブロワ伯ウード2世が争った際にも、皇帝側で参戦しています。

勢力拡大と暗殺

しかし、ボニファーチオの勢力拡大は、神聖ローマ皇帝の警戒を招きました。皇帝はボニファーチオの勢力を抑制しようと圧力を加えました。1052年5月6日、ボニファーチオはマントヴァ近郊での狩猟中に暗殺されました。暗殺者はオパルマのスカルペッタ・デ・カネヴァリとされています。背後には、当時の皇帝ハインリヒ3世の関与も疑われています。ボニファーチオはマントヴァに埋葬されました。

結婚と子孫

ボニファーチオは2度結婚しました。最初の妻は、ベルガモ伯ジザルベルト2世の娘リキルダです。リキルダとの間には娘が一人いましたが、夭逝しています。リキルダ自身も1036年に亡くなっています。

その後、アルデンヌ家の上ロートリンゲン公フリードリヒ2世の娘ベアトリーチェ・ディ・ロタリンジャと再婚し、3人の子供をもうけました。

ベアトリーチェ（夭逝）
フェデリーコ（1052年 - 1055年、トスカーナ辺境伯となるも夭逝）
* マティルデ（1046年? - 1115年、トスカーナ女伯として後を継ぐ）

ボニファーチオの死後、ベアトリーチェはロートリンゲン公ゴットフリート3世と再婚し、その後のカノッサ家の歴史に大きな影響を与えました。

まとめ

ボニファーチオ・ディ・カノッサは、神聖ローマ帝国期の有力な領主として、その勢力拡大と、皇帝との関係において重要な役割を果たしました。彼の死後、その遺産は娘のマティルデに引き継がれ、彼女は中世ヨーロッパにおいて重要な人物として活躍しました。ボニファーチオの生涯は、当時の政治的な駆け引きと、権力闘争を象徴するものと言えるでしょう。

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