アレッツォ

アレッツォは、イタリア共和国トスカーナ州に位置する、人口約96,000人のコムーネ（基礎自治体）で、アレッツォ県の県都です。アルノ川の中流域に面し、中世美術の豊かな遺産で知られています。

地理

アレッツォは、シエーナから東北東へ約48km、ペルージャから北西へ約57km、フィレンツェから南東へ約61km、そして首都ローマからは北北西へ約180kmの距離に位置します。アレッツォ県南部に位置し、周囲を豊かな自然に囲まれています。

隣接するコムーネには、以下のような場所があります。

アンギアーリ
カポローナ
カステル・フォコニャーノ
カスティリオーン・フィオレンティーノ
チテルナ（ペルージャ県）
チヴィテッラ・イン・ヴァル・ディ・キアーナ
コルテオナ
モンテ・サン・サヴィーノ
モンテキオ（ペルージャ県）
スッビアーノ

気候と地震

アレッツォの気候は、イタリアの気候分類で「zona E」に属し、2104GGという度日を持っています。これは、比較的穏やかな気候であることを示しています。また、地震リスク階級では「zona 2」（中程度の地震リスク）に分類されています。

歴史

アレッツォの歴史は非常に古く、旧石器時代にまで遡ります。オルモで発掘された「オルモの頭蓋骨」がその証拠です。古代には、エトルリア人の重要な都市の一つであり、ドデカポリスと呼ばれる12の主要都市の一つでした。エトルリア時代には、サン・ピエトロの丘とサン・ドナートの丘を中心に繁栄し、交易の中心地として1万から2万人の人口を抱えていたと推測されています。この時代には、多くの神殿や聖堂が建てられ、陶器や青銅器、像などの美術品が数多く作られました。特に「アレッツォのキメラ」や、エウフロニオスの作とされるクラテール（甕）は、この地で発掘された重要な美術品です。

紀元前4世紀後半には、ローマの勢力拡大に伴い、アレッツォは次第にローマに併合されました。ローマ時代には「アレティウム」と呼ばれ、穀物や軍需物資の供給地として重要な役割を果たしました。帝政ローマ時代には、アレッツォ陶器が広く輸出され、町の主要な収入源となりました。

キリスト教がローマに浸透する中で、アレッツォもその影響を受けました。聖ロレンツォの殉教を記念する碑が建てられ、中世にはサン・ロレンツォ教会が再建されました。また、アレッツォの守護聖人である聖ドナートは、西暦362年に殉教しました。

14世紀頃には、フィレンツェ共和国に併合され、15世紀から16世紀初頭にかけては、フィレンツェ支配に対する反乱とその鎮圧が頻繁に起こりました。人口は一時的に減少しましたが、その一方で教会や宮殿、メディチ家の城塞などが多数建設され、建築技術は目覚ましい発展を遂げました。

その後、アレッツォはトスカーナ大公国の支配下に入り、1796年の地震や民衆蜂起などの混乱を経て、ナポレオン時代にはフランスの支配下に置かれました。その後、トスカーナ大公国が復活し、サルデーニャ王国を経て、イタリア王国に併合されました。

行政区画

アレッツォには、多くの分離集落（フラツィオーネ）があります。これらの集落は、それぞれ独自の歴史と文化を持っています。

スポーツ

アレッツォには、サッカークラブ「USアレッツォ」があります。過去にはセリエBに所属していたこともありますが、現在はセリエDで活動しています。また、自転車ロードレース「ジロ・ディ・トスカーナ」のゴール地点となることもあります。

文化

アレッツォは、多くの著名な人物を輩出しています。詩人のペトラルカ、諷刺作家のピエトロ・アレティーノ、画家のジョルジョ・ヴァザーリ、医師のフランチェスコ・レディ、天文学者のパオロ・マフェイなどがこの地出身です。

映画『ライフ・イズ・ビューティフル』は、アレッツォで撮影されました。この映画は、アレッツォの美しい街並みを世界に知らしめることとなりました。

姉妹都市

アレッツォは、以下の都市と姉妹都市関係を結んでいます。

ベッドフォード（イギリス）
モンテナルス（イタリア）
サン＝プリエスト（フランス）
エゲル（ハンガリー）
ヴィゼウ（ポルトガル）
ハエン（スペイン）
カンペチェ（メキシコ）
ノーマン（アメリカ合衆国）

アレッツォは、その長い歴史と豊かな文化遺産を持つ、魅力的な都市です。中世美術の愛好家や歴史に興味のある人にとって、必見の場所と言えるでしょう。

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