ボブ・オヘーダ

ボブ・オヘーダ：栄光と悲劇が交錯した左腕

ボブ・オヘーダ（Robert Michael Ojeda）は、1957年12月17日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。1980年代にボストン・レッドソックスとニューヨーク・メッツで活躍した元プロ野球選手（投手）です。左投左打。

レッドソックス時代：苦難を乗り越えて

セコイア大学卒業後、ドラフト指名されずにアマチュア・フリーエージェントとして1978年にレッドソックスに入団。マイナーリーグで実力を磨き、1980年にメジャーデビューを果たします。その後、再びマイナー降格を経験するも、1981年にはメジャー・マイナーを含むプロ野球史上最長の延長34回を勝利投手として飾りました。同年後半にメジャー再昇格を果たし、6勝を記録。翌1982年は4勝に終わりますが、1983年、1984年と2年連続で12勝をあげるなど、着実に成長を遂げました。

レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークは、左翼が狭く右打者に有利な球場として知られており、左投手にとっては不利な環境です。しかし、オヘーダは本拠地で通算20勝17敗という好成績を収め、球団の左腕投手として歴代ベスト10に入るほどの存在感を示しました。1985年にはリリーフに転向し9勝を挙げましたが、シーズン終了後、カルビン・シラルディとのトレードでニューヨーク・メッツへ移籍することになります。

メッツ時代：ワールドシリーズ制覇に貢献

1986年、メッツ移籍初年度に18勝5敗、防御率2.57という素晴らしい成績を挙げ、チームのワールドシリーズ出場に大きく貢献しました。ドワイト・グッデン、ロン・ダーリング、シド・フェルナンデスと共に先発四本柱を形成し、チームの勝ち頭として活躍。古巣レッドソックスとのワールドシリーズでは、第3戦と第6戦に先発し、第3戦では勝利投手となりました。チームは劣勢を跳ね返し、見事ワールドチャンピオンに輝きました。

しかし、翌1987年は故障に苦しみ3勝に終わります。1988年には10勝を挙げ復活を果たしますが、9月中旬に自宅で芝刈り機を操作中に左手の指先を切断する怪我を負い、リーグ優勝決定シリーズへの出場は叶わず、チームも敗退。それでもオヘーダは再び立ち直り、1989年には13勝を挙げました。1990年シーズン終了後、ヒュービー・ブルックスとのトレードでロサンゼルス・ドジャースへ移籍。かつてのチームメイトであるダリル・ストロベリーと再会を果たします。

ドジャース、インディアンス時代：苦難の連続

1991年はドジャースで唯一の先発左腕として12勝を挙げましたが、チームは地区優勝を逃してしまいます。1992年シーズン終了後、フリーエージェントとしてクリーブランド・インディアンスへ移籍。

1993年3月22日、スプリングトレーニング中にチームメイトのスティーブ・オリン、ティム・クルーズと共にボート事故に遭遇。オリンとクルーズは死亡し、オヘーダ自身も重傷を負いました。シーズン終盤に復帰し2勝を挙げましたが、同年限りでインディアンスを自由契約となります。

ヤンキース、そして引退へ

1994年、ニューヨーク・ヤンキースへ移籍するも、わずか2試合の先発で解雇。36歳という年齢もあり、そのまま現役を引退しました。

引退後：コーチとして野球界へ復帰

引退後はしばらく野球界から離れていましたが、2001年にメッツの1Aブルックリン・サイクロンズの投手コーチに就任。2003年には2Aに昇格しましたが、シーズン途中に辞任。2005年には独立リーグのコーチを務めました。

ボブ・オヘーダの野球人生は、栄光と悲劇が交錯するものでした。レッドソックス時代には苦難を乗り越え、メッツ時代にはワールドシリーズ制覇を経験。しかし、度重なる故障や事故に見舞われ、早すぎる引退を余儀なくされました。それでも彼は、野球への情熱を失うことなく、コーチとして次世代の育成に尽力しました。

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