ボリス・ネムツォフ

ボリス・ネムツォフの生涯と政治活動

ボリス・エフィーモヴィチ・ネムツォフ（Boris Efimovich Nemtsov）は、1959年10月9日にソ連のソチで生まれ、2015年2月27日に暗殺されたロシアの政治家です。エリツィン政権下で第一副首相を務めた他、環境保護運動から政界入りし、リベラルな政治家として活躍しました。

生い立ちと政界進出

ネムツォフはユダヤ系の両親のもと、ソ連時代のソチで生まれました。1981年にゴーリキー大学を卒業後、電波物理学研究所に勤務。1980年代後半から環境保護運動に携わり、ゴーリキーでの原子力発電所建設に反対する運動を主導しました。

1990年、ロシア共和国人民代議員に当選し政界入り。院内会派「民主ロシア」に所属しました。1991年8月のソ連クーデターではエリツィン大統領を支持し、その関係を深めました。1991年にニジニ・ノヴゴロド州の行政長官（後に知事）に任命され、1993年には上院連邦会議代議員に当選、1995年には同州知事に再選されています。

エリツィン時代

1997年、エリツィン大統領によって連邦政府の第一副首相に任命され、住宅建設政策や独占禁止政策を担当。一時的に燃料・エネルギー相も兼任しました。しかし、1997年12月に下院で「無責任な政治家」と非難され、1998年に第一副首相を解任されました。これは、外資導入による国内経済の不安定化を招いたと批判されたためです。

1999年にはリベラル派の結集を図り、同年の下院選挙で当選。2000年1月には下院副議長に選出されましたが、リベラル派の勢力は衰退しました。ネムツォフの収入が巨額であることも報告されています。

プーチン時代

2003年の下院選挙では、所属していた右派連合が得票率5%に届かず議席を失い、代表を辞任しました。2004年には石油コンツェルンの取締役に就任、「2008年委員会」を結成。ウクライナのオレンジ革命ではユシチェンコを支持し、大統領顧問に任命されています。

2007年の下院選挙では、比例代表リスト筆頭で立候補しましたが、集会で警察に拘束され、選挙では敗北。その後、2008年の大統領選への立候補を取り下げ、野党勢力の候補一本化を主張しました。

2011年にはプライベート写真が公開され、不倫関係が発覚。また、同年の下院選挙では、リベラル系野党「人民自由党」が政党登録を拒否され、選挙後に反政府デモを起こしました。人民自由党は支持率が7%を超えていたとされています。

2013年11月には、ヤロスラヴリに歴史的なスターリンマンションを購入しました。

暗殺

2015年2月27日、ネムツォフはモスクワ市内で銃撃され死亡しました。彼はウクライナへの軍事介入に反対するデモの呼びかけ人であり、クリミア併合を非難。親ロシア派が支配するウクライナ東部へのロシア軍の軍事支援を批判し、秘密情報を入手したと主張していました。このため、政治的動機による暗殺だとされています。

暗殺後、ロシア各地で追悼デモが行われ、ワシントンD.C.では、ロシア大使館前の通りが「ボリス・ネムツォフ・プラザ」と改名されました。

活動

ネムツォフは、1997年の日露首脳会談で、エリツィン大統領が北方四島返還を提案した際、即時決着を停止するよう説得し、四島返還提案を取り下げさせたことで知られています。

人物

ネムツォフは4人の子供がいます。最初の妻との間に娘シャナがおり、ジャーナリストとの間に息子アントンと娘ディーン、秘書との間に娘ソフィアがいます。2007年に最初の妻との関係は終わりましたが、婚姻関係は継続すると述べています。

外部リンク

公式ウェブサイト （ロシア語）
ボリス・ネムツォフ の肖像(2015年) レナ・ハデスの作品

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