ボルノ州

ボルノ州の概要

ボルノ州（Borno State）は、ナイジェリアの北東部に位置する州で、その州都はマイドゥグリ（現地名：イェルワ）です。州の愛称は「平和の家」とされていますが、歴史的には時として平穏が脅かされることもありました。

歴史的背景

ボルノ州はカヌリ族の支配地域であり、長い間伝統的な統治が続いてきました。かつてはカネム・ボルヌ帝国の中心地であり、1000年以上の歴史を有する首長が地域を統治していました。近現代においても、その伝統は続いており、現在でも首長は地域政府の顧問という重要な役割を果たしています。

19世紀初頭にはイギリスが介入し、既存の権力構造を打ち破る形で地域の支配権を掌握しました。そして、1905年には州都がマイドゥグリに置かれ、その後の1960年にナイジェリアが独立を果たした後も、ボルノ州は1976年まで自治を維持していました。しかし、当時の政治情勢や地域状況の変化により、ボルノ州は行政区画が再編されました。

特に2000年代以降、イスラム過激派ボコ・ハラムの活動が州内で激化し、地域の安全保障情勢は深刻な危機に直面しています。2013年以降、この反政府組織は政府に対し宣戦布告を行い、ボルノ州内での衝突が続いています。ボコ・ハラムによる住民の襲撃や学校からの生徒誘拐事件などは、州の治安を一層悪化させ、多くの避難民を生み出しました。

ボコ・ハラムの影響

2017年現在、ボコ・ハラムにより数万人が住居を失い、国連の世界食糧計画などの国際支援機関が多くの人々に食料支援を行っています。ボルノ州では、ボコ・ハラムやイスラム国西アフリカ州（ISWAP）の襲撃が続き、地域社会への影響は計り知れません。選挙の実施も困難な状況が続いていますが、2020年11月にはようやく選挙が行われました。しかし、その際、ボコ・ハラムによる農村襲撃事件が発生し、多くの犠牲者が出ました。

公共衛生の課題

ボルノ州にはポリオ震災の歴史もあります。ナイジェリア全体では長年にわたりポリオが流行していましたが、最近では発生例が減少し、根絶が視野に入っていました。しかし、2016年にはボルノ州で新たな患者が発生し、根絶の達成は一時的に困難となりました。この背景には、ボコ・ハラムとの紛争に起因する医療体制の崩壊があると言われています。2020年8月には、アフリカ地域におけるポリオ根絶が宣言され、ボルノ州の取り組みも注目されました。

その他の情報

ボルノ州には、特にチボクという地域も存在し、ここでは2014年にボコ・ハラムが276名の女子生徒を拉致した事件が発生しました。この事件は国際的にも広く報道され、ナイジェリア政府の対応が問われることとなりました。ボルノ州の歴史と現状は、地域だけでなく国際的な注目も浴びており、様々な角度からの解決策が模索されています。

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