ボコ・ハラム

ボコ・ハラムとは

ボコ・ハラム（Boko Haram）は、ナイジェリアを拠点とするサラフィー・ジハード主義の武装組織です。正式名称は「ジャマート・アール・アズ・スンナ・リッド・ダアワ・ワ・ル・ジハード」（宣教とジハードのためのスンナ派ムスリム集団の意）と称します。

「Boko Haram」という名称は、ハウサ語で「西洋式の非イスラム教育」を意味する「Boko」と、アラビア語で「罪」を意味する「Haram」を組み合わせたもので、「西洋の教育は罪」という思想を表しています。

ナイジェリア北部を中心に、イスラム法の厳格な適用を目指し、過激なテロ活動を繰り返しており、「ナイジェリアのターリバーン」とも呼ばれています。また、アルカイダとの連携や、ISIL（イスラム国）への忠誠を誓うなど、国際的なテロ組織との関係も指摘されています。

組織とリーダーシップ

ボコ・ハラムは、西洋式の教育だけでなく、西洋文明や現代科学、特にダーウィン主義を強く否定しています。その攻撃対象は異教徒に留まらず、過激な思想を受け入れない穏健なイスラム教徒にも及び、ナイジェリア国内のモスクへのテロも発生しています。

創設者はモハメド・ユスフで、2024年現在の指導者はバクラ・ドロです。アブバカル・シェカウが2代目指導者であった時代に組織は拡大しました。しかし、シェカウは2003年に死亡した人物の名前が一人歩きしたもので、組織内で指導者のブランドと化しているという指摘もあります。2021年6月には、後継者争いの末にバクラ・ドロが組織を掌握しました。

歴史

ボコ・ハラムの前身は、1990年代中頃に設立されたイスラム教の学習グループとされています。2002年にナイジェリア北部のマイドゥグリで結成され、2004年にはヨベ州に拠点を移しました。ニジェールとの国境付近に軍事訓練キャンプを設け、警察署の襲撃などを繰り返しました。

2009年、ナイジェリア警察による摘発が行われ、幹部が逮捕されました。7月には治安部隊との間で大規模な戦闘が発生し、700人以上の死者が出ました。リーダーのモハメド・ユスフは逮捕後に射殺され、その後はシェカウがリーダーを名乗るようになりました。

2010年以降も、暗殺、刑務所襲撃、首都アブジャでの爆弾テロ、キリスト教徒を狙った連続爆破テロなどを起こしています。2014年には、200人以上の女子生徒を拉致する事件を起こし、国際的な非難を浴びました。

2015年にはISILに忠誠を誓い、その影響力を拡大しました。2016年には組織が分裂し、アブバカル・シェカウのグループとイスラム国西アフリカ州（ISWAP）に分派しました。

2017年以降の動向

2017年以降も、ボコ・ハラムによる襲撃や拉致事件が頻発しています。ナイジェリア軍は掃討作戦を強化していますが、依然としてボコ・ハラムの脅威は続いています。

2021年には、指導者アブバカル・シェカウの死亡が確認され、組織の弱体化が指摘されていますが、依然として周辺地域への影響力は残っています。

2022年7月には、首都アブジャの刑務所が襲撃され、ボコ・ハラムのメンバーを含む多数の囚人が脱走する事件が発生しました。

ボコ・ハラムの脅威

ボコ・ハラムは、ナイジェリアおよび周辺地域において、深刻な人道的危機を引き起こしています。罪のない市民を標的としたテロ行為、拉致、略奪などを繰り返し、多くの人々が家を失い、避難生活を余儀なくされています。

国際社会は、ボコ・ハラムの壊滅に向けた支援を続けていますが、その道のりは依然として険しい状況です。

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