ボーイフレンド (惣領冬実の漫画)

ボーイフレンド

『ボーイフレンド』は、惣領冬実による日本の漫画作品で、1985年から1988年にかけて『週刊少女コミック』（小学館）で連載されました。1987年には、第33回小学館漫画賞少女部門を受賞しており、作者にとって初の長編連載作品となりました。単行本はフラワーコミックスから全10巻、文庫版は小学館漫画文庫と講談社コミックスフレンドBからそれぞれ全6巻が刊行されています。

あらすじ

物語は、クールで激しい気性を持つ高校2年生の高刀柾と、クラスメイトで2歳年上の結城可奈子を中心に展開します。また、可奈子の幼なじみで新任の体育教師である仲津川荘、そして天性のバスケの才能を持つアキラも加わり、複雑な人間関係が描かれます。

柾と可奈子は、互いに惹かれあいますが、荘やアキラとの間で三角関係に発展していきます。この4人が織りなす、切なくも美しい恋の物語が本作の見どころです。

登場人物

主要人物

高刀 柾（たかとう まさき）
主人公。高校2年生で、4人兄弟の三男です。中学時代にバスケ部を全国優勝に導きましたが、傷害事件を起こして高校を退学。その後、父親のコネで現在の高校に転入しました。周囲が彼を遠巻きにする中、唯一、気にかけてくれる可奈子に次第に惹かれていきます。しかし、年上である可奈子への引け目や、家庭内のいざこざ、バスケ部内での軋轢、そして荘やアキラの存在に苛立ち、可奈子を傷つけることもあります。不器用ながらも、可奈子の体調を気遣う優しさも持ち合わせています。中学卒業以来、バスケから遠ざかっていましたが、荘に請われてバスケ部に入部し、キャプテンとなります。生来は左利きですが、父親によって右利きに矯正されています。

物語の中盤以降、可奈子の余命がわずかであることを知ると、それまでまとわりついていたまみを拒絶し、可奈子への一途な想いを貫きます。しかし、可奈子からはそれを憐みだと否定されてしまいます。柾は、まみだけでなく、多く女性から好意を寄せられますが、可奈子への想いは揺るぎません。女性の扱いには全く慣れておらず、可奈子との関係においても、傷つけてしまうことを恐れてプラトニックな関係を貫きます。

結城 可奈子（ゆうき かなこ）
ヒロイン。柾のクラスメイトで、生まれつき心臓が弱く、休学を繰り返したため、柾より2歳年上です。大人びた容姿と面倒見の良さから、クラスメイトからは「可奈子さん」と呼ばれ、慕われています。小学生の頃は荘との結婚を夢見ていましたが、荘と姉のキスを目撃したことがきっかけで、姉を交通事故で失い、その死に責任を感じて、以来、自分の気持ちを素直に表すことができなくなりました。酔っ払いに絡まれていたところを柾に助けられ、次第に柾に惹かれていきます。理性的で温厚な性格ですが、自身の病気のことで悩み、柾に好意を寄せるまみの存在を脅威に感じ、自己嫌悪に陥ることもあります。検査の結果、手術の成功率が低いと告げられ、一時は柾との時間を優先しようとしますが、最終的には手術に望みを託します。

仲津川 荘（なかつがわ そう）
新任の体育教師で、可奈子の幼なじみです。大学時代はバスケの全日本チームに選ばれるほどの実力者でしたが、アキレス腱を断裂しバスケを断念。その後、陵北高校バスケ部を全国一に導きますが、可奈子の身体を心配して教師として赴任します。高校時代は可奈子の姉と恋仲でしたが、彼女を交通事故で失いました。可奈子に姉の面影を見ており、病気のことを承知の上でプロポーズしますが断られます。反抗的な柾を挑発する一方で、彼のバスケの才能を認め、最大の理解者となっていきます。終盤では、可奈子の手術に際して、自身の想いを激白する場面もあります。

曽笛 亜樹良（そふえ あきら）
通称アキラ。陵北高校の2年生で、ポジションはセンター。アメリカ人と日本人のハーフで、中学までアメリカで過ごしました。柾に劣らず口が悪く、ガラも悪いですが、可奈子と知り合い、強引に迫ります。後に、祖父が院長を務める病院で入院中の可奈子と再会し、親身に接するようになります。過去のトラウマから女性関係に冷淡でしたが、可奈子に対しては細やかな気遣いを見せます。後に柾と和解し、悪友のような関係になります。

柾たちの友人・知人

林野 まみ（はやしの まみ）
女子バスケ部員で、柾に一方的な好意を抱いています。告白しますが、きっぱりと断られます。それでも諦めずに柾に付き纏いますが、最終的には友達として柾に認められます。一見強気な発言が目立ちますが、可奈子に悪感情は持っておらず、一応の気遣いも見せます。最初はうるさがっていた柾も、彼女のことを気にかけるようになります。しかし中盤以降、柾に拒絶され、疎遠になりますが、可奈子の手術後に和解し、尾木との交際を勧められます。

尾木 透（おぎ とおる）
バスケ部1年生で、柾のプレーに憧れて入部。可奈子にも好意を抱いており、まみの行動を諫めます。次第にまみのことが気になるようになり、彼女を気遣うようになります。バスケの才能も高く、後にレギュラーを獲得し、次期エースとして期待されます。後にまみと付き合うことになります。

古賀（こが）
柾のクラスメイトで、バスケ部に柾を勧誘します。柾の才能に嫉妬し、嫌味を言うこともありますが、比較的仲の良い友人です。

戸川 亜季（とがわ あき）
柾のクラスメイトで、可奈子とは親友です。可奈子の恋を応援し、まみを敵視します。後にバスケ部のマネージャーになります。

羽生 恵（はにゅう めぐみ）
女子バスケ部キャプテンで、荘に好意を抱いています。可奈子とは互いに牽制しあうこともありましたが、すぐに和解します。後に荘に告白します。

中原 みゆき（なかはら みゆき）
柾のクラスメイトで、柾に好意を抱いています。可奈子に対して辛く当たり、発作を起こした可奈子をからかったりしますが、柾に一蹴されます。

大場（おおば）
陵北高校バスケ部の監督で、荘の恩師です。口は悪いですが、生徒のことを親身に考えています。

伊東（いとう）
月刊スポーツマガジンの記者で、学生時代は荘に恋心を抱いていました。柾と可奈子の姿に、荘と可奈子の姉の姿を重ね、柾にちょっかいをかけます。

柾たちの親族

高刀 正（たかとう ただし）
柾の兄で、4人兄弟の長男です。真面目な会社員です。

高刀 正雄（たかとう まさお）
柾の兄で、4人兄弟の次男です。大学生で、柾ほどではないですが、奔放な性格です。

高刀 正彦（たかとう まさひこ）
柾の弟で、4人兄弟の末っ子です。小学生ですが、しっかり者で、柾の理解者です。柾と同じく左利きです。

柾の父親
厳格な性格で、学力偏重主義者です。柾の才能を認めず、柾の反発を招きます。

高刀 美和子（たかとう みわこ）
柾の母親で、和服を着ています。気が強く、よく家出をします。

可奈子の母親
過保護な性格で、可奈子のことを常に心配しています。可奈子を学校をやめさせようとします。

可奈子の父親
温厚で優しい性格で、妻と娘の間の緩衝材となっています。柾を気に入っています。

田中 美智子（たなか みちこ）
正の婚約者です。古風なタイプの女性です。

アキラの父親
医師で、可奈子の主治医でもあります。

曽笛 冴子（そふえ さえこ）
アキラの義母で、アキラとは姉弟のような仲です。

テレビアニメ

1992年2月11日にテレビ東京で放送されたテレビアニメは、全1話構成でした。主要な声優陣は以下の通りです。

高刀柾：辻谷耕史
結城可奈子：日髙のり子
仲津川荘：井上和彦
曽笛亜樹良：矢尾一樹

その他、豪華声優陣が脇を固めています。

アニメのスタッフは以下の通りです。

監督：出﨑哲
キャラクターデザイン・作画監督：小林ゆかり
* アニメーション制作：マジックバス

オープニングテーマは仲代奈緒が歌う「卒業写真」、エンディングテーマは同じく仲代奈緒が歌う「手の中の星座」です。

この作品は、漫画とアニメの両方で多くの人々に愛され、青春時代の恋愛と葛藤を描いた名作として、今もなお語り継がれています。

もう一度検索