ポケットいっぱいの秘密

アグネス・チャン「ポケットいっぱいの秘密」徹底解説

「ポケットいっぱいの秘密」は、1974年6月10日にリリースされたアグネス・チャンの6枚目のシングルです。この楽曲は、作詞家・松本隆さんのプロとしてのデビュー作としても知られています。

楽曲の背景

当時、アグネスのレコーディング・ディレクターであった吉野金次さんの依頼で、松本隆さんはアグネスのアルバム『アグネスの小さな日記』のために数曲を作詞しました。その中の一曲が、渡辺プロダクション社長・渡辺晋さんの目に留まり、シングルカットされることになったのが「ポケットいっぱいの秘密」です。シングル盤とアルバムではバージョンが異なっているのも特徴です。

歌詞に隠された秘密

この曲の歌詞には、松本隆さんによる巧妙な仕掛けが隠されています。1番の冒頭の歌詞を縦に読むと「アグネス」という言葉が浮かび上がるのです。これは、当時ロック界から歌謡界へ転身することへの反発があった松本さんが、その才能を示すために仕込んだ遊び心でした。後に松本さんは、自身を「縦読みの元祖」と語っています。アグネス自身はこの仕掛けに全く気づいておらず、20年ほど経って松本さんとの会話で初めて知ったそうです。

豪華な制作陣

作曲は、後にキャンディーズのヒット曲を連発する穂口雄右さんが担当しました。穂口さんにとっても、この曲が作曲家としての初めての提供曲となりました。編曲は、アグネスのシングルでは初めて馬飼野俊一さんが担当しない曲となりました。アルバムバージョンとシングルバージョンでは編曲者が異なり、シングルバージョンは東海林修さんとキャラメル・ママが共同で編曲を担当しています。キャラメル・ママは、後にティン・パン・アレーと改名し、アルバム『TIN PAN ALLEY 2』（1977年）でこの曲をリメイクしています。ティン・パン・アレー版のボーカルは、MANNA（岩沢真利子）さんが務めました。

紅白歌合戦での披露

「ポケットいっぱいの秘密」は、1974年度の『第25回NHK紅白歌合戦』でも歌唱されました。その際には、南沙織さん、天地真理さん、山本リンダさん、あべ静江さんといった人気歌手たちがバックダンサーとして華を添えました。

近年の話題

2021年11月には、松本隆さんの作詞活動50周年を記念するコンサートイベント『風街オデッセイ』が日本武道館で開催され、アグネス・チャンも出演しました。アグネスは、歌詞に隠された縦読みの秘密について語った後、この曲を歌唱し、観客を魅了しました。

収録曲

1. ポケットいっぱいの秘密（2分59秒）
作詞：松本隆／作曲：穂口雄右／編曲：東海林修・キャラメルママ
2. しあわせの白い砂（3分24秒）
作詞：山上路夫／作曲：森田公一／編曲：馬飼野俊一

カバーバージョン

* 風吹ジュンさんが1974年にアルバム「風吹ジュン ファースト・アルバム ジュンとあなたの世界」でカバーしています。

「ポケットいっぱいの秘密」は、時代を超えて愛されるアグネス・チャンの代表曲の一つです。松本隆さんの遊び心あふれる歌詞や、豪華な制作陣による編曲、そしてアグネスの透明感あふれる歌声が、この曲を特別なものにしています。

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