ポジール

ポジール：ウクライナ・キーウの歴史的地区

ポジール（ウクライナ語：Поділ）はウクライナの首都キーウに位置する歴史的な地区で、その名は「麓」を意味します。別名では下町（Нижнє місто）とも呼ばれ、ドニプロ川の右岸に広がる古キエフ山や城山のふもとに位置し、キーウの発展に大きな役割を果たしてきました。この地域は13世紀後半から18世紀にかけてキーウの中心地とされており、19世紀以降も経済・文化の重要な拠点となっています。

歴史の幕開け

ポジールは945年に記された『ルーシ年代記』に初めて言及され、考古学的な調査ではすでに9世紀の末には存在していたとされています。この地区は職人や商人が集まる城下町として知られ、ボールィチウ坂を通じて上町（古キエフ）とつながっていました。12世紀には約200ヘクタールの面積を有し、土塁と防壁によって囲まれていました。ポジールを流れるポチャイナ川にはキーウ港も存在し、地域の経済活動が盛んに行われていました。ポジールには正教会の聖堂もいくつかあり、文化と宗教が融合した活気あるコミュニティの一部を形成していました。

中世の発展と試練

しかし、1240年のモンゴル襲来により、ポジールは大きな打撃を受け、中心地が古キエフ山からこちらへと移りました。外部からの脅威により、ポジールの面積は縮小しましたが、ポジールには市場や広場が整備され、その周りに市役所や大聖堂が建設されました。1494年には、市役所が木造の建物として設立され、18世紀には石造りの建物へと改築されました。その後、ポジールには様々な宗教施設や学校が開設され、地域に多様な文化が息づいていました。

近世の変化

17世紀には、ポジールにアルメニア人の教会やカトリックの大聖堂が立ち上がり、さらにはギリシア人の修道院も設立されました。このころには木造の住宅が多く見られましたが、裕福な商人たちは石造りの家を建て始め、ポジールの景観を変えていきました。1760年には商業地区として商客館も建設され、地域の経済活動が一層活性化しました。

近現代の再編成

ポジールは1811年に大火災に見舞われた後、道路の整備が進み、計画的に市街地が再編成されました。1815年から1817年には市場のために契約館が新たに建てられ、ポジールは今も重要な商業拠点であり続けました。19世紀の半ばになると、キーウの中心はペチェールシクへと移り変わりましたが、ポジールの役割は依然として大きく、名門のキエフ神学学院など、多くの重要な施設が残っていました。

ソ連時代とその後

1921年にはポジール区が設置されましたが、ソ連時代には多くの文化財が失われ、新しい商業施設が整備される一方で地域の歴史的な要素も失われていきました。しかし、1970年代には大規模な発掘調査が行われ、ポジールは保護区域に指定され、この地区の歴史的な価値が再認識されることとなります。ウクライナの独立後も、ポジールでは伝統を受け継ぐ教育機関が復興され、地域の文化的な振興が続いています。

結論

ポジールはその長い歴史の中で、文化と経済の発展に寄与してきた重要な地区です。現代においても、その歴史的な遺産は地域の文化的アイdenティティを形成する要素として大切にされており、今後もその価値を保ち続けることが期待されています。

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