ポスト・ディスコ

ポスト・ディスコの概要

ポスト・ディスコ（英：Post-disco）は、1970年代前半から1980年代初頭にかけて登場した音楽ジャンルで、ダンス・ミュージックの新たな探求を反映したものである。この時代は、ディスコ音楽が流行した後の過渡期にあたる。DJやプロデューサーたちは、音楽スタイルを進化させ、ダンス・ポップやブギー、イタロ・ディスコなどが生まれ、電子的な要素が取り入れられた。また、ポスト・ディスコはテクノやハウスといった後に続くジャンルの土台ともなった。本ジャンルは、ディスコ音楽から直接派生したものであり、特にシンセサイザーを用いた音楽が多かった。

歴史的背景

1977年、ドナ・サマーの「I Feel Love」がリリースされたことは、ポスト・ディスコの発展において非常に重要な出来事であった。この曲は、シンセサイザーのみを使用してバックトラックが制作され、ブライアン・イーノが「15年間のクラブ・ミュージックの音を変えるだろう」と評価した。その影響力を受け、シンセサイザーを使った実験的な音楽が広がることとなる。また、この時期にはアシュ・ラ・テンペルやクラフトワークといったアーティストがミニマル・ミュージックを展開しており、その先駆的なスタイルが後の音楽シーンに影響を与えた。

ディスコ・デモリッション・ナイト以降、ディスコ音楽の人気は減少し、代わりにブラック・コンテンポラリーやヘヴィメタルなどが流行した。多くのディスコレーベルが経営難に直面する中でも、ポスト・ディスコは舞台を変えながら生き延びていった。マイケル・ジャクソンのアルバム『オフ・ザ・ウォール』もまた、ダンス音楽に影響を与えた。

起源と定義

「ポスト・ディスコ」という用語は1984年に『ケイデンス・マガジン』によって初めて使用され、この音楽スタイルは生演奏のリズムに頼らず、主にエレクトロニクスを用いることによって特徴づけられる。具体的には、ハイハットやエレクトリック・ベースに頼ることなく、ドラムマシンやシンセサイザーによって4/4拍子のビートを構成するスタイルが一般的である。特徴的なボーカルスタイルはそのままに、ポップでキャッチーなサウンドが形成された。

ポスト・ディスコの音楽と影響

ポスト・ディスコの影響力は、80年代のアーティストたちに確実に広がった。特にラリー・レヴァンやフランキー・ナックルズといったプロデューサーたちの存在は、音楽の新しい風を吹き込んだ。ヒット曲としては、シナモンの「Thanks To You」やD・トレインの「You're the One for Me」などがある。

さらに、2000年代に入ると、ダフト・パンクやレ・リズム・ディジタルらがポスト・ディスコを再評価し、新しい音楽アルバムを発表した。音楽のリバイバルとして、バンド「クローメオ」や、『The Perfect Beats』というコンピレーション・シリーズがこれに貢献している。

影響の広がり

ポスト・ディスコのスタイルは、後に多くの音楽ジャンルに影響を与えた。ノルウェーのダンス・ミュージックのプロデューサーたちはこのサウンドにインスパイアされ、ヒップホップのアーティストも独自のスタイルを形成する際にポスト・ディスコからの影響を受けた。アイス・キューブやEPMDといったラッパーたちは、彼らの音楽にポスト・ディスコのファンク感を取り入れた。

結論

ポスト・ディスコは、後の音楽シーンに多大な影響を与えた重要な時代であり、今日のハウス・ミュージックや電子音楽の基盤を築いた。本ジャンルは、アーティストたちの革新的な取り組みや実験的なスタイルを通じて、今なお音楽界の中で生き続けている。

もう一度検索