ポッタパーダ経

ポッタパーダ経の概要

『ポッタパーダ経』は、パーリ仏典の経蔵長部に収められた第9の経であり、漢訳では『布吒婆楼経』とも呼ばれています。この経は、釈迦の教えに基づき、さまざまな心の働きとその原因を探究する内容を持っています。その名は、経文の中に登場する遊行者の名から取られています。

経の構成と登場人物

経には主に二人の人物が登場します。まず、釈迦自身は長年の修行を経て仏陀となった存在であり、人々に智慧を授ける役割を果たします。そしてポッタパーダという遊行者が、彼の教えを求める中心人物として描かれています。加えて、象使いの子チッタも重要な役割を担っており、彼は釈迦の教えを通じて変化を遂げる様子が追われます。

内容と背景

物語は、釈迦がサーヴァッティにあるアナータピンディカ園（祇園精舎）で滞在している際、ポッタパーダが3000人の行者と共にマッリカー園のエーカサーラカ堂に集まっている時に始まります。ここで、ポッタパーダは心の働きと因縁に関する問いを持っており、釈迦との対話を通じて仏教の根本教義を理解しようとします。

ポッタパーダの問いに対して、釈迦は心の作用が因縁によって影響されることを説明します。彼は心の働きがどのように因果関係に基づいているのか、特に「九次第定」の修行を通じて高次の精神状態に達する方法についても詳しい説明を行います。この修行段階には、十善戒や六根清浄、正念正智、所持品の簡素化などが含まれ、心を清浄に保つための具体的な道筋が示されます。

さらには、ポッタパーダはアートマンについて問いますが、釈迦はそれについて「有るとも無いとも言えない」として、その存在についての結論を出さず、四聖諦の教えへと話を導きます。この教えは、人々が苦しみから解放されるための重要な教訓として位置づけられています。

数日後、象使いの子チッタが釈迦を訪れ、アートマンについての疑問を投げかける場面があります。釈迦は彼にも同様の説明を行い、その教えに感銘を受けたチッタは、最終的には出家し、後に阿羅漢に至ります。このように、ポッタパーダ経は、教えを受けた者たちがどのようにして仏教徒として成長していくのか、そしてそれぞれの心の変化を描写する重要な経典と言えます。

参考文献

• - 南伝大蔵経・経蔵・長部経典1
• - 『パーリ仏典 長部（ディーガニカーヤ）戒蘊篇II』
• - 『原始仏典 長部経典1』

この経は仏教の教えを学ぶための一助となるだけでなく、個々の心のあり方や成長の道筋を考える際にも貴重な资料を提供しています。

もう一度検索