ポッテンドルフ線

ポッテンドルフ線：ウィーンと周辺地域を結ぶ鉄道の要

ポッテンドルフ線は、オーストリア連邦鉄道の主要路線のひとつであり、ウィーンとニーダーエスターライヒ州のウィーナー・ノイシュタットを、エーブライヒスドルフを経由して結んでいます。さらに、ウィーンとブルゲンラント州、ハンガリーのショプロンを結ぶ役割も担っています。

概要

この路線は、地域住民の足としてだけでなく、都市間の重要な輸送ルートとしての役割も果たしています。ウィーン～ウィーナー・ノイシュタット間には、特急列車が運行する510号線もあり、こちらの方が所要時間は短くなっています。

沿線概況

列車はウィーンのマイドリング駅から、オーストリア南部鉄道と分かれ、南へと進路を取ります。バーデン方面へ向かう地方鉄道がポッテンドルフ線と並行し、ウィーン山の西側山麓へと続きます。列車はさらに西南方向に走行し、マッツラインドルフ・アルトマンドルフ分岐点を通過。そこにはドナウレンデー鉄道が合流し、ウィーン山の南側山麓へと伸びています。その後、列車は右にほぼ直角に曲がり、インツェルスドルフとロートノイジードルの間を走り、ルースリング川高架橋とブルーメンタル駅を通過します。

エブライヒスドルフを通過した列車は、南東へと方向を変えます。アッハウ郊外では、アスパン線がポッテンドルフ線の上を交差します。列車はシュヴェルム川の鉄道橋を渡りながら右へカーブし、トリースティング川鉄道橋、ミュンヘンドルフ駅、エブライヒスドルフ新駅へと進みます。ヴァンペルスドルフ駅では、グラーマトノイジードル方面への支線が合流し、ライタ川が路線に近づきます。列車はライタ川低地のポッテンドルフとエーベンフルトを通過し、西南方向へ温フィシャ川と並走。ウィーナー・ノイシュタット市内では、東から南部鉄道が合流し、ウィーナー・ノイシュタット中央駅に到着します。

歴史

ウィーン＝ポッテンドルフ＝ウィーナー・ノイシュタット鉄道

1860年代、ラープ鉄道とグロクニッツ鉄道の連絡線が計画され、1864年9月30日に建設許可が発行されました。しかし、資金の統合がうまくいかず、建設免許は返還されました。その後、1869年8月23日に新たな許可が下り、ウィーナー・ノイシュタット - グラーマトノイジードル区間が1871年9月1日に「ウィーナー・ノイシュタット＝グラーマトノイジードル鉄道」として開通しました。鉄道会社はウィーンとプレスブルクを結ぶ鉄道との接続を目指し、グラーマトノイジードル - フィシャメント区間の建設を計画しましたが、建設許可は別の会社に与えられました。

1872年9月10日、ウィーン銀行連合がウィーン - ポッテンドルフ区間とエーベンブルク方面の国境区間の鉄道敷設許可を獲得し、1875年に既存の路線と合わせて「ウィーン＝ポッテンドルフ＝ウィーナー・ノイシュタット鉄道」が設立されました。1874年5月7日にウィーン・ブルメンタール - ヴァンパースドルフ区間が開業、1875年11月3日にウィーン・マイドリングまで延伸されました。その後、ウィーン＝ポッテンドルフ＝ウィーナー・ノイシュタット鉄道は南部鉄道会社に運営権を譲渡しました。

オーストリア連邦鉄道時代

1924年、この路線は連邦鉄道によって運営されるようになり、その後国有化されました。1974年4月には電化が完了。1983年からは、ヴァンペルスドルフ - ウィーナー・ノイシュタット区間で部分的に複線化が進められました。2002年12月15日には、グラーマトノイジードル - ヴァンパースドルフ区間で旅客列車の運行が中止され、ウンターヴァルタースドルフ駅の待合室が廃止されました。

ÖBB持ち主グループ

現在、ポッテンドルフ線の複線化改良プロジェクトが進行中です。これはウィーン南部鉄道の輸送量増加を目的としたもので、2016年より本格的に始動しました。2016年12月には、旧インツェルスドルフ貨物駅にウィーン南操車場が開業し、コンテナ荷役、物流管理、貨物自動車・貨車の移送に利用されています。ヘナースドルフ駅は高架駅に改築され、2018年11月に開業しました。ウィーン - ミュンヘンドルフ区間の複線化工事は2019年11月に完了し、アッハウ駅とミュンヒェンドルフ駅も近代的な施設を備えるようになりました。

2023年までに全区間が複線化され、南部鉄道の旅客・貨物輸送の分散に貢献する予定です。エブライヒスドルフ近郊の区間移設工事は2023年9月4日に完了しました。市内では、廃線跡が公園として活用され、新駅周辺には新たな市街地が造成される計画です。2020年12月には、ウィーン市内のマイドリング - アルトマンスドルフ分岐点間の改修工事に関する環境影響評価が行われました。2022年5月9日には、ミュンヘンドルフの分岐器でGYSEVの快速列車が脱線する事故が発生しました。

運行形態

この路線の運賃制度は、オーストリア東部地域運輸連合（VOR）が担当しています。

特別快速「レギオナル・エクスプレス(REX)」

REX6系統：ブラチスラヴァ - ヴィーン - エーベンフルト - ドイチュクロイツ

1時間に1本運行しており、ウィーン以北は700号線、エーベンフルト以南は512号線に直通します。

普通「Sバーン(S60)」

ブルック・アン・デア・ライタ - ヴィーン - ヴィーナー・ノイシュタト

1時間に1本運行しており、ウィーン以北は700号線に直通します。

今後の展望

ポッテンドルフ線の複線化と近代化は、ウィーンとその周辺地域の交通インフラを大きく改善するでしょう。輸送能力の向上だけでなく、沿線地域の開発や活性化にも貢献することが期待されています。

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