ポップラップ

ポップラップとは

ポップラップ、またはヒップポップは、ヒップホップ音楽のリズムと、ポップ音楽のキャッチーなメロディーやボーカルを融合させた音楽ジャンルです。1990年代にメインストリームで人気を博し、現在でも多くのアーティストが活躍しています。

特徴

オールミュージックは、ポップラップを「ヒップホップのビートとラップに、ポップソングのサビのような強いフックを持つメロディーを組み合わせたもの」と説明しています。歌詞はストリートのラップに比べて攻撃性が低く、恋愛や日常をテーマにしたものが多く見られます。ただし、1990年代には、よりアグレッシブなスタイルを取り入れるアーティストも登場しました。

音楽ジャーナリストのウィルソン・マクビーは、ポップラップを批判的に捉え、「商業的な成功のためにアーティストとしての信念を曲げた」と述べています。また、「単に人気があるだけのラッパーとポップラッパーの区別があいまいになっている」とも指摘しています。

歴史

起源（1980年代後半～1990年代）

1980年代後半から1990年代初頭にかけて、Run-D.M.C.、ビースティ・ボーイズ、LL・クール・Jなどのラップアーティストがメインストリームで人気を獲得し、ポップラップの土台が築かれました。

LL・クール・Jは、1985年のデビューアルバム『レイディオ』で頭角を現し、「最初のポップラッパー」とされています。1987年のシングル「I Need Love」は、MTVで「最初のポップとラップのクロスオーバーヒット」と評されました。

その後、トーン・ロック、ヤングMC、ザ・フレッシュ・プリンスなどのアーティストが、パーティーチューンやストーリーテリング能力を生かした楽曲で人気を博しました。1990年代には、ポップラップはヒップホップ音楽としてだけでなく、ダンスミュージックやR&Bとの結びつきも強まりました。

1990年代前半には、M.C.ハマーとヴァニラ・アイスがそれぞれ「U Can't Touch This」と「Ice Ice Baby」でメインストリームに進出しました。しかし、これらの曲は「有名なヒット曲から借用している」と批判され、裁判沙汰になることもありました。

1990年代後半から2000年代初頭には、ジャ・ルールのようなラッパーがギャングスタラップのテーマを1980年代のポップやソウルの要素と融合させ、ポップラップシーンを席巻しました。

メインストリームでの成功（21世紀）

2000年代前半には、ブラック・アイド・ピーズがアルバム『エレファンク』からのシングル「ホエア・イズ・ザ・ラヴ?」を大ヒットさせ、ポップラップは再びメインストリームに返り咲きました。

2000年代後半には、ドレイク、ウィル・アイ・アム、ニッキー・ミナージュ、ウィズ・カリファなど、多くのアーティストがポップラップシーンに登場しました。

ドレイクは、アルバム『Take Care』やEP『So Far Gone』でトップチャートを席巻し、2010年に発表したデビューアルバム『Thank Me Later』は全米ビルボード200で初登場1位を記録しました。

ニッキー・ミナージュもアルバム『Pink Friday』で成功を収め、2011年には全米ビルボード200で1位を獲得しました。また、女性アーティストとして初めてMTVの「今年最も熱かったMCリスト」に掲載されました。

デヴは、ヒップホップのスタイルにフューチャリスティック・エレクトロニカやスワッグ・トーキングなどを組み合わせた新しい波を持ち込みました。

ウィズ・カリファは、シングル「Black and Yellow」で商業的な成功を収め、アルバム『Rolling Papers』もヒットしました。その後も、T-ペインやリリー・アレン、スヌープ・ドッグなど、他のアーティストとの共演で数々のヒット曲を生み出しました。

2010年代には、ドレイクのアルバム『Nothing Was the Same』やイギー・アゼリアの「ファンシー」、ウィズ・カリファとチャーリー・プースの「See You Again」などが大ヒットしました。2018年には、ドレイクの「God's Plan」がビルボード・Hot 100で首位を獲得しました。

ポップラップの今後

ポップラップは、常に変化し続ける音楽シーンの中で、その形を変えながらも、今後も多くの人々に愛され続けるでしょう。

関連項目

オルタナティブ・[[ヒップホップ]]
ニュージャックスウィング

出典

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