ポメラニア戦役 (1715年-1716年)

ポメラニア戦役：大北方戦争における戦略的攻防

ポメラニア戦役（1715年5月1日 - 1716年4月19日）は、大北方戦争の重要な局面であり、プロイセン、デンマーク、ザクセンの連合軍が、スウェーデン領であったフォアポンメルンとその周辺地域を攻略した軍事作戦です。この戦役の主眼は、難攻不落とされていたシュトラールズント要塞の占領にありました。

戦いの背景

18世紀初頭、スウェーデンはバルト海沿岸地域に広大な領土を有し、その勢力は強大でした。しかし、大北方戦争の勃発により、スウェーデンはロシア、デンマーク、ザクセンなどの国々と長きにわたる戦いを繰り広げることになります。ポメラニアは、スウェーデンの重要な拠点の一つであり、この地域の支配を巡って激しい戦闘が展開されました。

戦いの経緯

戦役は、1711年のデンマーク軍によるスウェーデン領ポメラニアへの侵攻から始まりました。数に劣るスウェーデン軍は、シュテッティーン、シュトラールズント、リューゲン島などに撤退し、防衛線を構築します。連合軍はシュトラールズントを包囲しますが、重砲の不足や兵糧の欠乏により、攻囲は失敗に終わります。

その後も、連合軍はシュトラールズントへの攻囲を繰り返しますが、スウェーデン軍の抵抗や補給の問題などから、なかなか攻略することができませんでした。しかし、1714年にスウェーデン国王カール12世がオスマン帝国から帰還すると、事態は新たな局面を迎えます。

カール12世は、シュトラールズントの防衛を強化し、連合軍との徹底抗戦を指示します。1715年、プロイセンがスウェーデンに宣戦布告し、連合軍はシュトラールズントとその周辺地域の攻略に本格的に乗り出します。連合軍は、兵力と装備でスウェーデン軍を圧倒し、リューゲン島やウーゼドム島を次々と占領しました。

シュトラールズント攻囲戦

1715年7月、連合軍はシュトラールズント要塞の本格的な攻囲を開始します。要塞は、海と陸の両方から厳重に包囲され、激しい砲撃が加えられました。スウェーデン軍は頑強に抵抗しましたが、徐々に追い詰められていきます。

1715年11月、連合軍はリューゲン島を占領し、シュトラールズントへの補給路を遮断しました。これにより、要塞内の状況はさらに悪化します。12月、連合軍は要塞への総攻撃を開始し、激戦の末、ついにシュトラールズントを陥落させました。

ヴィスマールの陥落

シュトラールズント陥落後も、スウェーデン軍はヴィスマールを拠点に抵抗を続けましたが、1716年4月、プロイセン軍とハノーファー軍によってヴィスマールも占領され、北ドイツにおけるスウェーデンの拠点はすべて失われました。

戦いの影響

ポメラニア戦役は、大北方戦争におけるスウェーデンの敗北を決定づける重要な戦いとなりました。スウェーデンは、ポメラニアの領土の一部をプロイセンに割譲し、バルト海における勢力を大きく後退させることになります。一方、プロイセンは、この戦役での勝利を通じて、領土を拡大し、ヨーロッパにおける地位を高めることになりました。

その後

1720年、プロイセンとスウェーデンの間でストックホルム条約が締結され、講和が成立しました。スウェーデンは、オーダー川とペーネ川に挟まれた地域をプロイセンに割譲する代わりに、賠償金を受け取りました。シュトラールズントは、その後もスウェーデンの領土として残りましたが、1815年にプロイセンに編入されました。

ポメラニア戦役は、18世紀初頭のヨーロッパの勢力図を大きく塗り替えるとともに、プロイセンの台頭を促した重要な出来事として、歴史に刻まれています。

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