ポリティカ (セルビアの新聞)

『ポリティカ』（Политика / Politika）は、セルビアで発行されている日刊紙であり、バルカン半島における最古の部類に属する由緒ある新聞として知られています。セルビア国内では高級紙としての地位を確立しており、その影響力は小さくありません。

1904年1月25日にヴラディスラヴ・リブニカルによって創刊されたこの新聞は、長年にわたりセルビア、そしてユーゴスラビアの歴史を記録し、社会の動向を伝えてきました。発行元は、かつて同紙を所有していたポリティカADと、ドイツのWAZメディエングルッペが出資する合弁会社、ポリティカ新聞雑誌有限会社です。ポリティカ社は、『ポリティカ』の他にも、日刊スポーツ紙『スポルツキ・ジュルナル』、コンピュータ・新技術関連雑誌『スヴェト・コンピュテラ』、娯楽雑誌『ポリティキン・ザバヴニク』など、多様な定期刊行物を発行しています。また、セルビアとモンテネグロで広範な販売網を有している点も特徴です。

『ポリティカ』は創刊当初から、セルビアおよびユーゴスラビアの重要人物による寄稿を掲載してきました。著名な寄稿者としては、ブラニスラヴ・ヌシッチ、イヴォ・アンドリッチ、ヴァサ・ポポヴィッチ、ズコ・ジュムフル、リュボミル・ヴカディノヴィッチ、ミロスラヴ・ラドイチッチ、モシャ・ピヤーデなどが挙げられます。これらの寄稿者たちは、それぞれの専門分野や視点から、社会や文化、政治に関する深い洞察を提供し、『ポリティカ』の報道内容に重みを与えてきました。

また、第二次世界大戦中にゾルゲ諜報団の一員として活動したブランコ・ド・ヴーケリッチが、本紙の特派員として日本に派遣されていたという興味深い経緯も持っています。ヴーケリッチは日本滞在中、少なくとも56本の署名記事を執筆しており、当時の日本の状況を伝えていました。ヴーケリッチが特派員として『ポリティカ』に入社した経緯については不明な点が多いものの、当時の社主であったリブニカルがユーゴスラビア共産党のシンパであったことが影響していると考えられています。

1990年には、RTVポリティカという放送局が開設されました。この放送局はポリティカADが過半数を所有しており、独自の周波数帯と中継局を通じて、セルビアの国土の大部分、人口の90%をカバーしていました。しかし、放送免許の更新がなされず、2007年に放送を停止しています。

『ポリティカ』は、セルビアの報道史において重要な役割を果たしてきただけでなく、文化、政治、社会に多大な影響を与えてきました。その歴史は、セルビア近現代史と深く結びついており、社会の変遷を映し出す鏡として、これからもその存在感を示し続けるでしょう。

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