ポリデウケス (衛星)

発見と命名

ポリデウケスは、2004年10月21日に土星探査機カッシーニによって撮影された画像の中から発見されました。カッシーニ画像班による分析で、12日後に撮影された広視野画像にもその姿が捉えられていることが確認されました。この発見は、同年11月8日に国際天文学連合のサーキュラーで公表され、「S/2004 S 5」という仮符号が与えられました。

発見当初、観測データは軌道を正確に特定するには不十分でしたが、テティスとディオネが公転する領域に存在すると推測されました。しかし、土星の赤道面をほぼ円軌道で公転していると仮定した場合、ディオネと同じ軌道上にある衛星である可能性が高いことが判明しました。さらに、過去のカッシーニのデータを詳細に調査した結果、同年4月9日に撮影された画像にもポリデウケスが写っていることが確認されました。

その後、2005年1月21日に、ポリデウケスはギリシア神話の航海の守護者であるポルックス（カストルの双子の弟）のローマ名にちなんで命名されました。同時に、土星の第34衛星として「Saturn XXXIV」という確定番号も付与されました。

トロヤ衛星

ポリデウケスは、ディオネと同一の軌道上に位置し、ディオネの後方にあるラグランジュ点（L5）に存在するトロヤ衛星です。同様に、ヘレネもディオネのラグランジュ点に存在しており、こちらはディオネの前方ラグランジュ点（L4）に位置しています。これらの関係は、軌道力学的に言うと、ディオネとポリデウケスが1:1の平均運動共鳴を起こしていることを示しています。

同じような力学的関係を持つ土星の衛星には、テティスとそのラグランジュ点に存在するテレストとカリプソがあります。ポリデウケスは、これまでに発見された4つの土星のトロヤ衛星の中で唯一、探査機によって発見されたものであり、最も新しい発見例となります（他の3つは1980年に地上観測によって発見されました）。

ポリデウケスの実際の位置は、ラグランジュ点L5の周辺を振動しています。L5はディオネの後方60°に位置していますが、ポリデウケスの位置は33.9°から91.4°の範囲で変動し、その周期は約790.931日です。この大きな秤動により、ポリデウケスはディオネに接近したり遠ざかったりする運動を繰り返し、ディオネを基準にすると、オタマジャクシのような軌道を描いているように見えます。

物理的特徴

ポリデウケスの表面は、ディオネとの重力的な相互作用によって静水圧平衡の状態にあると考えられていますが、内部は必ずしも平衡状態ではない可能性があります。これは、ミマスとの相互作用によって静水圧平衡になっていると考えられているメトネと似た状況です。

出典

参考文献

関連項目

* ラグランジュ点に存在する物体の一覧

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