ポルシェ・928

ポルシェ928の全貌

ポルシェ928は、1978年にポルシェが市場に送り出したスポーツカーで、スポーツ性能とラグジュアリー性を兼ね備えた新しいモデルとして注目されました。特に911オーナー層の心をつかみ、一時期はポルシェの主力モデルとされました。ここでは、928の特徴、歴史、技術的な革新を詳しく見ていきます。

1. 歴史的背景

ポルシェ928の開発が始まったのは1972年のことです。経営をエルンスト・フールマンが引き継ぎ、911モデルに代わる新たなフラッグシップを模索していました。その結果、当時高級スポーツカーとして名を馳せていたジャガー・EタイプやフェラーリV12モデルを意識した設計が進められ、1977年には新世代のポルシェとして登場しました。

2. デザインと性能

928は、流麗な卵形のシルエットと特有のポップアップ型ヘッドランプが特徴です。外観はスポーティでありながらも高級感あふれるデザインが施されています。また、内装においては、メーターパネルがハンドルと一緒にチルトし調整できるシステムなど、優れたユーザビリティを追求しました。すべてのデザイン要素が運転の楽しさだけでなく快適性も意識されたものです。

928には、自社製のV型8気筒エンジンがフロントミッドシップに搭載されており、トランスアクスル方式が採用されています。この構造により、車両の前後バランスが理想的に保たれ、運転性能の向上に寄与しています。エンジンは水冷式で、新技術を多く取り入れており、トランスミッションは5速マニュアルとメルセデス・ベンツ製の3速オートマチックから選択できました。

3. 進化とモデル展開

928シリーズは、1980年に登場した928Sを皮切りに、多数の派生モデルが登場しました。928Sはエンジン排気量が4,664ccに拡大され、性能も向上。1984年には928S2が265馬力のパワーを発揮しました。また、興味深いのは、1984年に制作されたドクターズカーと呼ばれるモデルで、これは特別に製作されたもので、当時の先進技術が反映されています。

928シリーズの中でも注目を集めたのは928GTSで、340PSを誇る5,396ccのエンジンを搭載し、最高速度は294km/hに達します。928は、ポルシェが提供するモデルの中で最も長期間生産された車のひとつで、1995年に生産が終了されるまで愛され続けました。928のデザインや技術は後の車両に多くの影響を与えています。

4. 928の影響

928は、その独特のスタイルや技術的な革新が後のスポーツカーのデザインや性能に影響を及ぼしました。その旋回中の安定性を高めるために導入された「ヴァイザッハ・アクスル」は、四輪操舵システムやマルチリンク式サスペンションの先駆けとなり、現代の自動車技術に大きな影響を与えています。

まとめ

ポルシェ928は、ただのスポーツカーにとどまらず、ポルシェの革新の象徴ともいえる存在です。設計、技術、性能のすべてにおいて新たな基準を打ち立て、現在に至るまで多くの自動車愛好家に愛され続けています。928の存在は、ポルシェブランドのアイデンティティを確立する上で欠かせないものとなっています。

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