ポルトガル・マムルーク海上戦争

ポルトガル・マムルーク海上戦争

ポルトガル・マムルーク海上戦争は、インド洋で展開されたポルトガルとエジプトのマムルーク朝との間での海上戦闘を特徴とする複雑な歴史的事件です。この戦争は、1498年にポルトガルが喜望峰を経由してインドに到達したことを契機に始まりました。ポルトガル側の目的はインド洋での貿易支配を拡大する一方、マムルーク朝はその勢力を維持し、香辛料貿易の利益を守ることを目指していました。

戦争の兆し

戦争の始まりを告げる出来事は、1500年から1501年にかけて行われたポルトガルの第2次インド派遣艦隊によるカリカットへの攻撃です。この攻撃により、インドとエジプトおよびヴェネツィアを結ぶ香辛料貿易は急激に減少し、価格は暴騰しました。ポルトガルの艦隊はアラブの商船をも狙い、1503年にはエジプトの船を襲撃し略奪するという行動に出ました。

1504年には、マムルーク朝のスルタン、アシュラフ・カーンスーフ・ガウリーが教皇に対して特使を派遣し、ポルトガルの侵略を止めない場合はキリスト教徒を攻撃すると警告しました。この動きを受けて、ヴェネツィア共和国もポルトガルに対抗するための協力関係をマムルーク朝と築こうとします。特に、アラビア半島の港にはポルトガルに対する禁輸を促したとされていますが、マムルーク朝の海軍の関心は薄く、地上戦に重きを置いていました。

マムルーク遠征と戦闘

1505年、マムルーク朝は初の本格的な遠征を開始し、アミール・フセイン・アル＝クルディの指揮のもと、ポルトガルの影響を打破するために艦隊を編成しました。しかしポルトガルは、フランシスコ・デ・アルメイダの指揮する艦隊により圧倒的な海軍力を持ち、マムルーク艦隊との衝突を繰り返しました。特に1508年に勃発したチャウルの海戦では、マムルーク朝とグジャラート・スルターン朝との連合艦隊がポルトガルに勝利しました。

翌1509年のディーウの戦いでは、ポルトガルが復讐戦を遂げ、マムルーク艦隊を沈めることに成功しました。この勝利により、ポルトガルは香辛料貿易を再び手中に収め、マムルーク朝をさらに困窮させました。

パートナーシップと外交策

戦争の経過において、マムルーク朝はアラブの他国、特にオスマン帝国の協力を求めました。オスマンは1508年を境に彼らの支援を強化し、1514年までの戦争期間において、さまざまな軍事支援を行いました。これに対抗するため、ポルトガルもペルシアとの和解を目指し、自国の立場を強化するための同盟を試みました。

戦争の終息とその後の影響

最終的に1517年、オスマン帝国がマムルーク朝を征服し、カイロを占領することとなります。この事件はマムルーク朝の崩壊を招き、インド洋におけるポルトガルの制圧が確立されることとなりました。その後、オスマン帝国はポルトガルとの競争において重要な役割を果たすこととなりました。

この海上戦争は、インド洋での交易の様相を一変させ、16世紀の歴史において重要なターニングポイントとなりました。

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