アシュラフ・カーンスーフ・ガウリー

アシュラフ・カーンスーフ・ガウリーの生涯

アシュラフ・カーンスーフ・ガウリー（al-Ashraf Qānṣūh al-Ghaurī）は、1501年から1516年までブルジー・マムルーク朝の第24代君主として在位しました。彼の治世は、衰退を続けるマムルーク朝を再建しようとする奮闘の歴史として知られています。

即位と改革

ガウリーは1501年に君主となると、マムルーク朝の再興を目指し、さまざまな改革に着手しました。彼は、弱体化したマムルーク軍を立て直すため、より有能とみなされる黒人奴隷やヤクザと呼ばれる徴兵者を軍に取り入れることで、マムルーク軍団からの脱却を試みました。また、新たに銃砲などの武器も導入し、戦力の強化を図りました。

外圧とその影響

しかし、当時の外的な要因はマムルーク朝にとって厳しいものでした。インド洋ではポルトガルやサファーヴィー朝が影響力を強めており、オスマン帝国もキリキアを支配下に置いてガウリーの領土、シリア北部に迫っていました。財政も困窮しているマムルーク朝は、これらの脅威に立ち向かうための有効な対策を打ち出すことができずにいました。

シリア遠征とマルジュ・ダービクの戦い

このような状況の中、オスマン朝のセリム1世はその膨張計画の一環としてマムルーク朝に対するシリア遠征を決意します。ガウリーは、彼の軍がこの攻撃を迎え撃つためにシリアに進軍することとなります。軍事的な兵力ではガウリーが優位に立っていましたが、戦闘中に一部の味方が寝返るという不幸もあって、結果的には大敗を喫することになります。この戦いで、マムルーク軍は約7万という大きな戦力を失い、ガウリー自身も敗走中に戦死してしまいます。

ガウリーの死とマムルーク朝の滅亡

マルジュ・ダービクの戦いの後、ガウリーの死はマムルーク朝にとって致命的な打撃となり、その後、1517年にはセリム1世の攻撃によってマムルーク朝は完全に滅ぼされてしまいます。ガウリーは、彼の治世における改革の試みが実を結ぶことなく、悲劇的な形で歴史に名を刻むこととなりました。

このように、アシュラフ・カーンスーフ・ガウリーは、衰退する国家を再生しようとした指導者として記憶される一方で、様々な外圧や内部の問題によってその夢を実現できなかった悲運の人物でもあります。

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