ポルトガル領ギニア

ポルトガル領ギニアの歴史

ポルトガル領ギニア（ポルトガル語: Guiné Portuguesa）は、1588年からギニアビサウが独立を達成した1974年9月10日まで、ポルトガルが西アフリカに領有していた植民地です。この地は、かつて西アフリカの伝統的な王国の一部であり、ナウラ族などが塩の交易と稲作を行っていました。

奴隷貿易の時代

1446年、ポルトガル王国はこの地域一帯の領有を宣言し、1450年頃には探検家ヌノ・トリスタンが到達しました。16世紀にはカアブ帝国が成立し、17世紀にはポルトガル、フランス、イギリス、スウェーデンなどのヨーロッパ諸国が奴隷貿易を盛んに行いました。ギニアビサウのカシェウは、西アフリカにおける最大の奴隷市場の一つでした。推定では約1000万人のアフリカ人が奴隷として取引され、そのうち約37%がポルトガルによってブラジルに連れて行かれたとされています。

1687年には、ビサウがポルトガル領ギニア植民地の交易拠点として建設されました。19世紀に入り奴隷制が廃止されると奴隷貿易は衰退しましたが、小規模な非合法な取引は依然として存在していました。

植民地支配の深化

ポルトガルは4世紀にわたりこの地域を支配しましたが、内陸部は他のヨーロッパ諸国に分割されていきました。カザマンス川流域を含む地域はフランス領西アフリカの一部となり、ボラマ島を巡ってはイギリスとポルトガルの間で対立が生じましたが、アメリカ合衆国の仲裁によりポルトガルの領有が確定しました。19世紀後半まで、ポルトガル領ギニアはカーボベルデ植民地の一部でしたが、1879年に単独の植民地となりました。

20世紀に入ると、ポルトガルは沿岸のイスラム教徒を利用して内陸部のアニミストを排斥する政策を進めました。しかし、内陸部や離島地域の支配は安定せず、ビジャゴ諸島が完全に政府支配下になったのは1936年以降でした。1942年には、ビサウが植民地の首都となりました。

独立運動と解放

1951年、ポルトガルの植民地法の改正により、ポルトガルの全海外植民地は海外州となりましたが、実質的な統治は変わらず、アミルカル・カブラルによると、ポルトガル領ギニアを含む各植民地の非識字率は99%に達していました。1956年、アミルカル・カブラルはギニア・カーボベルデ独立アフリカ党（PAIGC）を結成し、独立運動を開始しました。1959年のピジギチ虐殺を機に、PAIGCは武装闘争へと路線を転換し、1963年にポルトガルに対して独立戦争を開始しました。

PAIGCは東側諸国の支援を受け、ゲリラ戦を展開し、解放区で医療や教育を普及させました。1968年、総督アントニオ・デ・スピノラ将軍は、軍事的勝利が不可能であることを報告しました。1970年には、ポルトガルがカブラルの暗殺を試みましたが失敗に終わりました。カブラルは1973年に暗殺されましたが、PAIGCは既に国土の大部分を解放しており、同年9月24日にはギニアビサウの独立を宣言しました。

独立とその後

ポルトガル国内でも、植民地戦争への疑念が高まり、1974年4月25日にはカーネーション革命が起こり、エスタド・ノヴォ体制が崩壊しました。これにより、ポルトガルとPAIGCの間で独立交渉が行われ、1974年9月10日にギニアビサウの独立が承認されました。初代大統領には、アミルカル・カブラルの弟であるルイス・カブラルが就任しました。

参考文献

アミルカル・カブラル/白石顕二、正木爽、岸和田仁訳『アフリカ革命と文化』亜紀書房、1980年10月。
野々山真輝帆『リスボンの春──ポルトガル現代史』朝日新聞社〈朝日選書448〉、1992年4月。
金七紀男『ポルトガル史（増補版）』彩流社、2003年4月増補版。

関連項目

ギニアビサウ
ポルトガル領ギニア・エスクード（通貨）
ポルトガル海上帝国
ポルトガル領西アフリカ（ポルトガル領アンゴラ）
ポルトガル領東アフリカ（ポルトガル領モザンビーク）

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