ポンツァギーン・ジャスライ

ポンツァギーン・ジャスライ：モンゴルの民主化と経済改革を牽引した政治家

ポンツァギーン・ジャスライ（1933年11月26日 - 2007年10月25日）は、モンゴル人民共和国からモンゴル国への移行期に首相を務め、経済発展と民主化を推進した重要な政治家です。

生い立ちと初期のキャリア

ジャスライは1933年、ゴビ・アルタイ県ブガト郡で生まれました。1950年にゴビ・アルタイ県トンヒル地区高等学校を卒業後、視学官としてキャリアをスタートさせます。1951年にはモンゴル人民革命党に入党し、政治家としての道を歩み始めました。1961年にはモスクワ経済高級学校で農業経済学の学位を取得し、経済に関する専門知識を深めました。

1970年から1975年まで国家価格委員会議長を務め、1973年からは人民大会議代議員を4期務めました。1976年から1978年まで人民革命党中央委員会計画・財政部長、1978年国家計画委員会第一副議長、1984年閣僚会議副議長（副首相）、1988年閣僚会議第一副議長（第一副首相）と、要職を歴任しました。1989年には党政治局員候補となっています。

1980年代中盤には、モンゴルにおける自由な市場経済の導入をいち早く主張し、改革の必要性を訴えました。

民主化運動と首相就任

1990年のモンゴル民主化運動によって、ジャムビン・バトムンフ書記長、ドマーギン・ソドノム首相と共に全ての官職と党職を辞任しました。その後、モンゴル製造・サービス協同組合協会会長に就任し、モンゴルの経済開発に関する調査のため、数カ国を訪問しました。

1992年6月28日、国民大会議総選挙でウランバートルの第26選挙区から立候補し当選。同年7月20日、第1回国民大会議でモンゴル国首相に選出されました。首相として、モンゴルの経済発展と民主化を公約に掲げ、改革を推進しました。

1993年6月にはアメリカ合衆国を訪問し、経済シンポジウムに参加。世界銀行や国際通貨基金を訪問したほか、ナショナル・プレス・クラブで講演を行いました。国際社会との連携を強化し、モンゴルの経済発展のための支援を求めました。

しかし、1993年夏には、野党各派から経済悪化への対応を批判され、内閣総辞職を求める声が上がりました。野党はモンゴル民主連合を結成し、ジャスライ内閣への対抗勢力となりました。1996年7月の総選挙では、民主連合を中心とする野党陣営が勝利し、人民革命党以外が政権を握るという、1921年のモンゴル独立以来初の事態となりました。これを受けてジャスライ内閣は総辞職し、メンダサイハン・エンフサイハンが後任の首相に就任しました。

ジャスライはその後も2004年まで国民大会議代議員の議席を維持し、政界に影響力を保持しました。

日本との関係と晩年

日本との関係も深く、首相在任中の1993年11月には日本を訪問しています。

2007年10月25日、ウランバートルで死去。73歳でした。

ポンツァギーン・ジャスライは、モンゴルの民主化と市場経済化という歴史的な転換期において、リーダーシップを発揮し、モンゴルの発展に大きく貢献した政治家として、記憶されるでしょう。

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