ポンティアック・ファイヤーバード

ポンティアック・ファイヤーバード：時代を彩ったポニーカーの軌跡

ポンティアック・ファイヤーバードは、ゼネラルモーターズ（GM）が製造し、ポンティアックブランドで販売していたポニーカーであり、シボレー・カマロの姉妹車として知られています。そのスタイリッシュなデザインと、高性能エンジンによるパワフルな走りが、多くのファンを魅了しました。ここでは、初代から4代目までのファイヤーバードの歴史を振り返り、各世代の特徴や魅力に迫ります。

初代ファイヤーバード（1967年 - 1969年）

初代ファイヤーバードは、コークボトル・スタイルと呼ばれる流麗なボディラインが特徴で、姉妹車であるカマロとは異なり、フロントバンパーがボディデザインに組み込まれた、レーシーな外観を持っていました。当初、ポンティアックは独自の2シーター・スポーツカーを希望していましたが、GMはシボレー・コルベットとの競合を避けるため、カマロとプラットフォームを共有することになりました。

エンジンは、シングルバレルキャブレター装備の6気筒エンジンから、V型8気筒エンジンまで、複数の種類が用意されました。中でも、高性能版の400cu in（6.6リットル）エンジンは、高い人気を誇りました。

1969年には、ハンドリング・パッケージとして「トランザム」がオプションで登場しました。トランザムとは、SCCA（スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ）による市販車レースに由来する名称です。初代トランザムは、リアスポイラーが特徴で、ハードトップとコンバーチブルが製造されました。

2代目ファイヤーバード（1970年 - 1981年）

2代目ファイヤーバードは、1970年2月に登場しました。初代のコークボトル・スタイルから一新され、リアウィンドウのトップからトランクリッドにほぼ直線に流れるファストバックラインが特徴となりました。このスタイリングは、F-ボディの中でも最も長く製造され、ファイヤーバードを代表するものとなりました。

グレードは、ベーシックな「エスプリ」、中級グレードの「フォーミュラ400」、高性能な「トランザム」の3種類が用意されました。特に「トランザム」は、高性能エンジンやエアロパーツを装備し、高い人気を博しました。

1970年代は、マッスルカーの終焉の時代でもありましたが、ファイヤーバードは高性能エンジンを搭載し続けました。中でも、455cu inエンジンは、マッスルカー世代最後のハイパフォーマンス・エンジンとして知られています。また、スーパーデューティ455（SD-455）と呼ばれる特別版も存在し、レース用エンジンとして開発されました。

1977年には、ヘッドランプが角型4灯式に変更されるなど、外観上の変更も行われました。また、T/A400と呼ばれる高性能エンジンも登場し、ファイヤーバードのパフォーマンスを向上させました。

3代目ファイヤーバード（1982年 - 1992年）

3代目ファイヤーバードは、1982年に登場しました。先代よりも軽量化され、デザインも洗練されました。フェラーリ・308などのイタリアン・デザインの影響を受けたボディスタイルは、風洞実験によって最適化され、Cd値（空気抵抗係数）はトランザムで0.323と、カマロを凌ぐものでした。

1982年モデルのトランザムは、アメリカのテレビドラマ「ナイトライダー」に登場するKITT（ナイト・インダストリー・2000）のベース車両として使用され、一躍有名になりました。

1980年代は、エンジンのダウンサイジングが進みましたが、ファイヤーバードはV型8気筒エンジンを搭載し続けました。また、ハイエンドモデルとしてトランザムGTAが登場し、豪華な装備と洗練されたスタイリングで人気を集めました。

4代目ファイヤーバード（1993年 - 2002年）

4代目ファイヤーバードは、1993年に登場しました。先代よりもさらにエアロダイナミクスが追求され、スタイリッシュな外観となりました。しかし、販売台数は下降傾向にあり、2002年をもって生産終了となりました。

4代目ファイヤーバードは、LS1と呼ばれるV型8気筒エンジンを搭載し、高いパフォーマンスを発揮しました。また、WS-6ラム・エアー・バージョンと呼ばれる高性能モデルも存在し、マッスルカー時代のファイヤーバードを彷彿とさせるものでした。

まとめ

ポンティアック・ファイヤーバードは、その独特なスタイルと高性能で、時代を彩ったポニーカーでした。初代から4代目までの各世代で、様々な特徴があり、多くのファンを魅了しました。惜しまれつつも2002年に生産終了となりましたが、その魅力は色褪せることなく、今もなお多くの人々に愛されています。

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