ハードトップ

ハードトップとは

ハードトップは自動車用語のひとつであり、主にオープンカーの屋根や特定のボディスタイルを指す。具体的には2つの意味を持つ。ひとつは、オープンカーに取り付けられる屋根部品としてのハードトップ、もうひとつは窓柱（Bピラー）を持たない独特のボディスタイルである。

自動車部品としてのハードトップ

ハードトップは、金属や樹脂から作られた頑丈な屋根を指し、オープンカーにおいて使われることが多い。この構造は、布製の屋根であるソフトトップとは対照的であり、耐候性や耐久性に優れている点が特徴だ。多くの場合、ハードトップはアルミやFRPなど軽量な素材で作られ、装着が可能なデタッチャブルタイプで提供される。

ハードトップの取り扱いは少々複雑で、ソフトトップに比べると手間がかかる。しかし、その分、居住空間の快適性やクーペスタイルの外観を得られるメリットがある。また、ハードトップは以前のジープスタイルの4WD車にも用いられ、これらをメタルトップやFRPトップなどと呼ぶ場合もあった。

最近では、自動開閉機能を持つ電動ハードトップも登場しており、オープンカーの中にはこの形式を取り入れたモデルも見られる。日本ではこのような屋根を「メタルトップ」とも呼ぶことがあるが、基本的には「ハードトップ」として分類できる。

ボディスタイルとしてのハードトップ

ハードトップはまた、スリーボックス形状の車両において、中央部に窓柱を持たないボディスタイルも指す。このデザインは、スポーティかつ開放的な印象を与えることを意図して設計されている。特に1949年にアメリカで登場したキャデラック・クーペドゥビルが初のハードトップスタイルを採用した例として有名だ。このデザインは、今でも高級クーペに引き継がれている。

日本におけるハードトップは、1965年のトヨペット・コロナハードトップにさかのぼる。その後、1970年代にはトヨタ・クラウンや日産・セドリックなどの高級車に広がり、さらには大衆車や軽自動車にも導入されるようになった。

ハードトップの多様化と市場の変遷

ハードトップはその特性上、車体の剛性や安全性が影響を受けることから、他の部分の補強が求められるためコストや重量が増加する傾向がある。そのため、日本ではトヨタがピラード・ハードトップという形態を提唱し、公平性を図る動きがあった。日本で初めてドアウインドウにサッシュを付けない構造を持つのはスバル・レオーネであった。

一時期、ピラーレスなハードトップ車は多様なモデルが存在していたが、2000年代に入り市場は変化。安全基準の強化やコストの観点から、最終的にはピラード・ハードトップや4ドアセダンへの移行が進んだ。現在では、ルックス的な魅力を重視した4ドアクーペなどの新たな形態としてサッシュレスドアが再評価されている。

このように、ハードトップは自動車デザインにおいて重要な役割を果たしてきた。一方で、安全性や経済性の観点から、徐々にそのスタイルは変化してきている。依然として高級車市場を中心に、その魅力は語り継がれており、今後も多様な進化を遂げていくことが期待される。

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