ポート・アーサー (タスマニア州)

ポート・アーサーの概要

ポート・アーサー（Port Arthur）は、オーストラリアのタスマニア州に位置する歴史的な町で、かつては流刑植民地として機能していました。現在は、その独自の歴史が魅力となり、観光名所として知られています。2010年には、UNESCOの世界遺産に、「オーストラリアの囚人遺跡群」の一つとして登録されました。

地理

ポート・アーサーは、州都ホバートから南東に約60kmの距離にあります。ホバートからは、タスマン・ハイウェイを利用してアクセスでき、途中にあるゾレルを経由します。陸路での移動には約96kmの距離を移動することになりますが、バスやフェリーでの移動手段も利用可能です。また、複数の旅行会社がホバートからの日帰りツアーを提供しているため、観光客にとっても訪れやすい場所です。

歴史的背景

ポート・アーサーは、かつて流刑植民地として知られ、その設立は1830年にさかのぼります。この地名は、ヴァン・ディーメンズ・ランド副総督ジョージ・アーサーに由来しています。タスマニア島へのヨーロッパ人の入植が始まった1803年以降、白人とアボリジニとの衝突が続き、アボリジニの人口は激減しました。この状況の中、白人の人口は急増し、タスマニアの牧羊業も発展しました。

1830年には、アーサー副総督がアボリジニに対する武力行使を命じ、その後の流刑植民地の設立に向けて安全な環境が整えられました。ポート・アーサーは、1833年に流刑植民地の一環として整備が始まり、以降20年間にわたり厳しい条件下での収容が行われました。特に、脱出不可能を旨とした厳しいセキュリティが敷かれ、地形を利用した監視制度が導入されました。

刑務所と観光への転換

ポート・アーサーの流刑施設は、1853年に一応の完成を見せますが、その後も拡張が続きました。しかし、1840年代半ばには流刑の処分を受ける囚人の数が減少し、最終的に1877年に刑務所は閉鎖されることとなりました。その後、ポート・アーサーは廃墟化していきましたが、1880年以降には観光名所としての可能性が模索され、観光施設として再生されていきました。

デーヴィッド・バーンは1842年にこの地を訪れ、美しい景観を称賛しましたが、初めはそのような意見は少数派でした。しかし、ポート・アーサーは1892年に観光のための港が整備されるなど、次第に観光地として発展しました。21世紀に入ると、年間28万人が訪れる人気の観光地となっています。

今日のポート・アーサー

1987年、ポート・アーサー歴史史跡管理局が設立され、地域の歴史的な遺産が保護されています。また、1996年にはポート・アーサー事件が発生し、オーストラリアの銃規制が強化されるきっかけにもなりました。このように、ポート・アーサーは単なる観光名所ではなく、オーストラリアの歴史にも深く結びついた場所です。

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