ポーランド家族同盟

ポーランド家族同盟（Liga Polskich Rodzin、略称：LPR）は、2001年に結成されたポーランドの極右政党です。カトリック系ラジオ局『ラジオ・マリア』の運営者であるタデウシュ・リジク神父の影響下で、複数の民族主義・愛国団体から生まれた『家族連盟』を前身としています。当初は国民党や国民民主党といった既存の民族主義政党のメンバーが中心となり、国民民主党がLPRに改称する形で発足しました。

2001年の議会選挙では、支持率低迷にもかかわらず、下院（セイム）で38議席を獲得するという躍進を遂げました。しかし、その後は議員離反などが相次ぎ、議席数は減少しました。2005年の選挙では下院で34議席を獲得し、法と正義（PiS）を中心とした連立政権に加わりました。この連立政権では、当初は法と正義党首のカジミェシュ・マルチンキェヴィチが首相を務め、その後ヤロスワフ・カチンスキが首相に就任しました。

しかし、連立政権参加を巡る党内対立や、ラジオ・マリアからの批判などにより、LPRの支持率は急激に低下していきました。さらに、連立与党内の汚職問題が表面化したことをきっかけに、2007年の議会選挙では議席獲得に必要な得票率5％に届かず、全議席を失う結果となりました。

LPRの基本的な政治スタンスは「国民カトリック」と形容され、伝統的な国民保守主義を基盤としています。経済政策においては、国家による介入を積極的に主張していました。政策面では、民族主義とカトリック教義に基づく主張が強く、妊娠中絶や同性愛に反対する立場を明確に示していました。特にEU統合については、強い反対姿勢を示していました。

LPRは、ポーランド国民全体の利益を擁護すべきだと主張し、ラジオ・マリアを通じて、伝統主義、外国人嫌悪、反ユダヤ主義的な主張を展開していました。これらの主張は、同党が支持基盤とした一部層に受け入れられた一方で、社会全体の支持を得るには至りませんでした。また、LPR傘下の青年組織は、暴力的な行動で知られており、社会問題を引き起こしていました。

このように、LPRは結成当初は一定の支持を集め、ポーランド政治に影響を与える存在となりましたが、党内対立、支持率低下、そして社会からの批判を克服することができず、短期間で勢力を失っていったのです。その歴史は、ポーランドにおける極右政党の台頭と衰退、そして民族主義、カトリック、EU統合といった複雑な社会問題を理解する上で、重要な事例となっています。

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