ポールポジション (ゲーム)

ポールポジション (POLE POSITION)

『ポールポジション』は、1982年にナムコ（現在のバンダイナムコエンターテインメント）が開発したレースゲームで、ゲームデザイナーの沢野和則氏と岡本進一郎氏によって創造されました。当初、このゲームは富士スピードウェイを舞台に、予選1周と決勝4周（周回数は店舗ごとに異なる）を競い合うスタイルで提供されました。

ゲームの概要

『ポールポジション』では、プレイヤーはアクセル、ブレーキ、ハンドル、及びLOWとHIGHの2段階ギアを操作し、リアルなレース体験を楽しめます。このゲームはそれまでのトップビュー視点から、擬似3Dの後方視点（リアビュー）を取り入れ、レースゲームの新たな形を提示しました。特に、ナムコが手掛けた大型筐体を使用するビデオゲームの先駆けとも言われ、当時の標準小売価格は136万円でした。

ナムコは1970年代にエレメカのレースゲームを開発していた経験があり、それがビデオゲームに応用されることになりました。当初はリアルな車の動きとゲームプレイのバランスを取るのに苦労し、開発にはおよそ2年を費やしました。また、当時のナムコ社長がテストプレイ中に「真っ直ぐ走れない！」と怒って帰ってしまったエピソードもあります。

一般的には、予選落ちするプレイヤーが多く、これが店舗の高い収入につながったという報告も残っています。

ゲームの流れ

『ポールポジションII』では、まずハンドルでコースを選択し、アクセルペダルで決定します。予選では一周してラップタイムを測り、タイムが規定以内であれば決勝に進むことができます。決勝では、敵車と競り合いながら数周を完走します。

レース中、コース上の水たまりに入ると速度が落ちるなどの要素があり、スピードによってコーナリング性能が変化します。過失や衝突がタイムロスに繋がるため、巧妙なテクニックが求められます。

『ポールポジションII』からは「ターボ」機能が追加され、特定の条件下で速度が上がるアイデアも加わりました。この状態でゴールすると、ユニークな演出が挿入されるなど、プレイヤーを楽しませる工夫がみられました。

移植作品とその展開

『ポールポジション』はさまざまなプラットフォームに移植され、Atari 2600や5200、スーパーカセットビジョンなど、多くのゲーム機で楽しむことができました。特にAtari向けには大きな広告キャンペーンが展開され、ゲーム自体も新たな市場を開くきっかけとなりました。さらに、最新技術を駆使したWindows版やゲーム機向けミュージアム収録なども行われ、後の世代にも親しまれています。

裏ワザと独自機能

『ポールポジションII』には特定の店舗設定において持ち時間を変更することで、意図的に予選落ちした後に余計に得られるスコアを活用するテクニックもありました。加えて、デジタイザを用いたコース設定機能やハンドルの動きに連動するアクションシートなど、独自の工夫によるプレイ体験の拡張が行われました。

このように、『ポールポジション』は単なるレースゲームにとどまらず、ゲームデザインやプレイスタイルに数多くの影響を与えた作品として、今もなお語り継がれる存在です。

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