ポール・アリジン

ポール・アリジン：ジャンプシュートで時代を切り開いた伝説のスコアラー

ポール・アリジン（Paul Arizin, 1928年4月9日 - 2006年12月12日）は、NBA初期を代表する名選手の一人です。ツーハンドによるセットシュートが主流だった時代に、ワンハンドのジャンプシュートを武器に得点を量産し、バスケットボールのプレイスタイルに革命をもたらしました。

苦難を乗り越え、ジャンプシュートを発見

フランス系とアイルランド系の血を引くアリジンは、決して順風満帆なバスケットボール人生を歩んだわけではありません。高校時代はコーチに認められず、一時チームを離れる苦渋も味わいました。しかし、校内や教会のチームでプレーを続ける中で、彼は独自のプレイスタイルを確立していきます。ダンスホールのような滑りやすい床でセットシュートを打つ危険を避けるため、彼はジャンプしながらシュートを打つことを試みました。これが、アリジンにとってのジャンプシュートの発見だったのです。低い天井のホールでの試合も多かったため、彼のジャンプシュートは独特の低い軌道を描くことになりました。

ビラノバ大学での活躍

アリジンは学業優秀でもあり、ビラノバ大学に進学。化学を専攻する傍ら、バスケットボールリーグでも活躍しました。彼のプレーを見た大学のコーチはスカウトし、アリジンは奨学金を得て大学のチーム、ワイルドキャッツに加入します。当初はカレッジバスケへの適応に苦労しましたが、徐々にその才能を開花させ、平均22.0得点を記録するまでに成長。NCAAトーナメントにも出場し、カレッジスター選手とのマッチアップでも互角以上の戦いを見せました。

NBAでの輝かしいキャリア

1950年、アリジンは地元フィラデルフィアのウォリアーズから指名を受け、NBA入りを果たします。新人ながらオールスターに選出され、平均17.2得点9.8リバウンドと、その実力をいかんなく発揮。2年目には平均25.4得点を記録し、得点王に輝くとともに、オールNBA1stチームにも選出されました。しかし、その絶頂期に朝鮮戦争への従軍を余儀なくされます。2年間のブランクを経て復帰後も、アリジンは以前と変わらぬ活躍を見せ、チームを牽引。1955-56シーズンには、ニール・ジョンストンとの強力なコンビでウォリアーズをNBAファイナル制覇に導きました。

晩年と功績

ウォリアーズ退団後はイースタン・バスケットボール・リーグでプレーし、チームを優勝に導くなど、最後まで現役への情熱を持ち続けました。2006年、78歳でその生涯を終えましたが、彼の功績はバスケットボール界に永遠に語り継がれています。

アリジンは、ジャンプシュートを広めただけでなく、ボールハンドリングやディフェンスにも優れたオールラウンドな選手でした。彼の優雅でアクロバットなプレーは、多くのファンを魅了し、現代バスケットボールの発展に大きく貢献しました。1978年にはバスケットボール殿堂入りを果たし、NBA25周年、50周年オールタイムチームにも選出されるなど、その偉大な功績は広く認められています。

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