ポール・ティベッツ

ポール・ウォーフィールド・ティベッツ・ジュニア

ポール・ウォーフィールド・ティベッツ・ジュニア（1915年2月23日 - 2007年11月1日）は、アメリカ合衆国の軍人であり、最終階級は空軍准将です。彼は1945年8月6日に広島に原子爆弾「リトルボーイ」を投下したことで特に知られており、その機長を務めたB-29爆撃機「エノラ・ゲイ」に名を刻んでいます。

生い立ちと教育

ティベッツはイリノイ州クインシーで、菓子卸問屋を営む父と母エノラ・ゲイのもとに生まれました。彼はアイオワ州で育った後、フロリダ州マイアミに移ります。1928年にはイリノイ州オールトンのウェスタン・ミリタリーアカデミーに進学し、続いてフロリダ大学、さらにシンシナティ医科大学に通いました。1937年にシンシナティ医科大学を卒業後、オハイオ州デイトンのライト・パターソン空軍基地で陸軍航空隊に入隊しました。

軍歴と原爆投下作戦

1937年には陸軍士官候補生に選ばれます。その後、太平洋戦争が勃発すると、第29爆撃隊でB-17爆撃機を操縦し、ドイツへの爆撃任務を遂行しました。1944年に、ティベッツは原爆投下部隊である第509混成部隊の指揮官に任命され、以降、ネバダ砂漠で秘密裏に原爆の投下演習を行いました。

1945年の5月、第509混成部隊はマリアナ諸島のテニアン島に移動し、ティベッツはそこで原爆投下の計画に取り組みます。彼は現地の指揮官に対し、上陸作戦よりも原爆の投下がより優れた選択であると説明し、12月には実際の投下に向けた準備を進めました。

1945年8月6日、ティベッツは「エノラ・ゲイ」を駆り、広島市の上空で原子爆弾を投下しました。この投下は戦争の流れを大きく変えるものであり、ティベッツ自身もその瞬間を担った機長として強い責任を感じていました。

戦後の活動

戦後、ティベッツはアメリカ国内での原爆実験に関与しつつ、最初のジェット爆撃機の開発にも関わったことが知られています。1954年にはNATOのスタッフとしてフランスに着任し、1959年には准将に昇進しました。1966年に空軍を退役した後、ティベッツはオハイオ州で企業の社長として活動していました。

また、彼には広島での原爆投下に対する葛藤や影響が続いており、2005年のインタビューでは、当時の心情について「任務に成功してホッとしていた」と語っています。その一方で、彼の行動に対する批判は根強く、晩年においてもそれは続いています。

最期と影響

2007年に脳卒中で亡くなったティベッツは、原爆投下に関して謝罪をすることなく生涯を終えました。彼の死後、被爆者たちはその姿勢に対し遺憾の意を表し、広島を訪れなかったことにも不満を示しました。また、彼の息子や孫も、彼の行動がもたらした影響を受け継いでおり、家族の歴史は今後も語り継がれています。

ティベッツの人生は、戦争における決断の重さや道義的な葛藤を抱えたものであり、現在でも多くの人々に影響を与えているトピックの一つです。

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