ポール・バトラー (ボクサー)

ポール・バトラーは、1988年11月11日にイギリスで生まれたプロボクサーです。チェスター出身。元IBF世界バンタム級王者、そして元WBO世界バンタム級王者として知られています。

プロキャリアは2010年12月に地元リヴァプールで始まり、デビュー戦を判定勝利で飾りました。早期からその才能を開花させ、2012年にはBBBofC英国スーパーフライ級王座を、翌2013年にはコモンウェルスイギリス連邦スーパーフライ級王座を獲得するなど、国内主要タイトルを次々と手中に収めます。さらに、WBOおよびWBAのインターコンチネンタルタイトルも獲得し、世界ランキングを駆け上がりました。

バンタム級に転級後、2014年6月にはIBF世界バンタム級王者のスチュアート・ホールに挑戦。12回判定勝ちを収め、自身初となる世界王座を獲得しました。

しかし、世界王者となった直後、階級をスーパーフライ級に戻すため、わずか1ヶ月足らずでIBF王座を返上するという異例の行動に出ます。階級を下げて2階級制覇を目指し、IBF世界スーパーフライ級王者ゾラニ・テテへの挑戦を計画。延期を経て2015年3月に対戦しますが、プロキャリアで初めてKO負けを喫し、2階級制覇はなりませんでした。

スーパーフライ級での挑戦失敗を経て、バンタム級に復帰。再び世界戦線に加わります。2017年にはかつて破ったスチュアート・ホールとの挑戦者決定戦を制し、世界挑戦権を獲得。しかし、2018年のIBF世界王座決定戦では計量失格のトラブルに見舞われ、試合にも敗れる結果となりました。

2021年からはプロモート会社プロベラムと契約。WBO世界バンタム級王者ジョンリル・カシメロとの対戦が度々計画されるも、カシメロ側の問題で試合が実現しない不運に見舞われます。2022年4月、カシメロが出場できなくなったことで急遽組まれたWBO世界バンタム級暫定王座決定戦で勝利し、暫定王座を獲得。その後、カシメロの王座剥奪に伴い、正規王者に昇格しました。

WBO正規王者として迎えた2022年12月13日、日本の有明アリーナで、3団体統一王者であった井上尚弥との世界バンタム級4団体統一戦というビッグマッチに臨みました。この歴史的な一戦で、バトラーは井上の強力な攻撃に対し、徹底した防御とフットワークで対抗しましたが、11回にボディからの連打を浴びて力尽き、KO負けを喫しました。これによりWBO王座から陥落しましたが、この試合で約90万ドル（約1億2150万円）のファイトマネーを得たと報じられています。

ポール・バトラーのプロ戦績は39戦36勝（17KO）3敗。イギリス国内や地域タイトルを多数獲得し、二度の世界王座戴冠を果たした、粘り強いキャリアを築いたボクサーと言えるでしょう。

もう一度検索