ポール・ビヤ

ポール・ビヤ：カメルーンの長期政権大統領

ポール・ビヤ（Paul Biya）は、1933年生まれのカメルーンの政治家であり、1982年から同国の大統領を務めています。2022年9月には、エリザベス2世の崩御により、存命中の国家元首として世界最高齢となりました。その政治手腕と秘密主義的な性格から「スフィンクス」とも呼ばれています。

生い立ちと初期のキャリア

ビヤは、フランス領カメルーン時代のムヴォメカ村で、ポール・バルテレミー・ビヤア・ビ・ムボンドとして生まれました。かつてはカトリックの神学生でしたが、パリ政治学院で国際関係論の学位を取得し、政界へと転身しました。帰国後は、アマドゥ・アヒジョ大統領の下でキャリアを積み、1975年に首相に任命されました。

大統領就任と長期政権

1982年、アヒジョ大統領の辞任を受けて、ビヤは大統領に就任しました。しかし、その後アヒジョとは政治的に対立し、アヒジョは国外追放の末、亡くなりました。ビヤは大統領として、1984年、1988年、1990年以降も再選を重ね、長期政権を築いています。

選挙と批判

2004年、2011年、そして85歳で臨んだ2018年の大統領選挙でも当選を果たしましたが、選挙の不正を指摘する声も上がっています。野党は選挙無効を訴えましたが、憲法評議会はこれを却下しました。2025年まで任期を全うすれば、92歳で在任期間は43年間にも及びます。

健康状態と外遊

近年、ビヤの健康状態は悪化しており、公務での外遊はほとんどありません。外国への渡航は、病気治療やスイス・ジュネーブでの休暇が主な目的となっています。組織犯罪と汚職報道プロジェクト（OCCRP）によれば、国外での私的滞在は累計で4年半にも及ぶとされています。

国内政策と批判

ビヤ政権は、反対者に対して強硬な姿勢をとると批判されています。また、英語圏住民からは、社会的少数者を孤立させる政策を採っていると非難されています。2024年には、下院議員の任期を延長する法律を可決させましたが、野党からは生涯大統領で居続けるための策略であると批判されています。

サッカーを利用した政権維持

ロジェ・ミラを代表に呼び戻したり、大規模ストライキを予定していた日の前日に祝日を宣言し、W杯出場決定による高揚感でストライキを中止させるなど、サッカーを政権への不満逸らしに利用したこともありました。

現在

2024年9月には、中国・アフリカ協力フォーラムの首脳会合に出席後、ジュネーブに滞在し、公の場に姿を現さなくなりました。同年10月には、大統領の体調に関する報道を禁じ、各州知事に監視を命じるなど、情報統制を強化しています。

ポール・ビヤは、カメルーンの政治において長きにわたり重要な役割を果たしてきた人物ですが、その強権的な姿勢や長期政権に対する批判も根強く存在します。

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