ポール・ランドスキ

ポール・ランドスキ：リオデジャネイロのキリスト像を創造した巨匠

ポール・ランドスキ (1875年6月1日-1961年3月31日) は、フランスを代表する彫刻家です。彼の名は、ブラジル・リオデジャネイロのシンボルとして知られる『コルコバードのキリスト像』の作者として世界中に知れ渡っています。

波乱の生い立ちと芸術への道

1875年、パリに生まれたランドスキは、1863年の1月蜂起後に亡命してきたポーランド人の父と、ベルギー出身の音楽家アンリ・ヴュータンの娘である母の間に生まれました。多様な文化に触れながら育った彼は、幼い頃から芸術への才能を開花させます。

彼は名門私立美術学校であるアカデミー・ジュリアンで学び、その後、フランスの最高峰美術学校エコール・デ・ボザールに進学。そして1900年、若手芸術家にとっての登竜門であるローマ賞を受賞し、彫刻家としての地位を確固たるものとしました。

パリを彩る数々のモニュメント

50年以上にわたるキャリアの中で、ランドスキはパリ市内だけでも35点以上のモニュメント、パリ近郊にも12点ものモニュメントを制作しました。中でも、1928年に完成したトゥールネル橋を飾る聖ジュヌヴィエーヴ像は、彼の代表作の一つとして広く知られています。これらの作品は、パリの街並みに独特の風格と美しさを与え、現在も人々を魅了し続けています。

ブラジル独立100周年記念の偉業：コルコバードのキリスト像

しかし、ランドスキを世界的な名声に押し上げたのは、何と言ってもリオデジャネイロのコルコバードのキリスト像です。ブラジル独立100周年を記念して、1931年に完成したこの巨大な彫刻は、高さ約40メートルにも及ぶ圧倒的なスケールを誇ります。

この像の制作には、土木技術者のHeitor da Silva Costa、建築家・彫刻家のGheorghe Leonidaらとの共同作業で、実に10年近い歳月が費やされました。ランドスキの芸術的な才能と、技術者たちの卓越した技が融合することで、この世界的に有名なランドマークが誕生したのです。

栄誉と業績

ランドスキの才能は、世界中から高く評価されました。1928年のアムステルダムオリンピックでは、芸術競技の彫刻部門で金メダルを受賞。さらに、1933年から1937年には在ローマ・フランス・アカデミーの校長、1937年から1942年にはパリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)の校長を務めるなど、教育者としても大きな功績を残しました。また、レジオンドヌール勲章（コマンドゥール）を受勲するなど、数々の栄誉に輝いています。

彼の息子であるマルセル・ランドスキも作曲家として知られており、芸術一家としての面影も垣間見えます。

ポール・ランドスキの生涯は、芸術家として、そして教育者としての情熱と才能に満ち溢れていました。彼の残したモニュメントは、今もなお人々の心を捉え、未来へと語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索