ポール・ワトソン

ポール・ワトソン：環境活動家、シーシェパード創設者

ポール・フランクリン・デイブ・ワトソンは、1950年12月2日生まれのカナダ出身の環境活動家です。後にアメリカ合衆国との二重国籍を取得しています。グリーンピースの元メンバーであり、反捕鯨団体「シーシェパード」の設立者として知られています。

生い立ちと初期の活動

ワトソンはトロントで生まれ、ニューブランズウィック州で育ちました。1960年代後半には、シエラクラブの核実験反対運動に参加し、環境問題への関心を深めました。その後、グリーンピースの初期メンバーとして活動し、船上員や操縦士を務めました。しかし、グリーンピースの非暴力的な姿勢に不満を持ち、より積極的な活動を求めるようになります。

グリーンピースからの脱退

1977年、ワトソンはグリーンピースの理事会から降ろされました。その理由は、彼の目立ちたがり屋で傲慢な性格が組織内の調和を乱していたこと、次期代表への反対、そしてアザラシ狩り漁師から棍棒を奪い海に投げ捨てた行動を謝罪しなかったことでした。ワトソンは非暴力的な抗議活動に限界を感じ、グリーンピースを脱退しました。

シーシェパードの設立と活動

グリーンピース脱退後、1977年に「アースフォース」を結成、翌年には「シーシェパード」と改名しました。シーシェパードは、捕鯨や海洋生態系破壊に対して直接的な抗議活動を行う団体として知られています。

シーシェパードの活動は非常に過激で、捕鯨船への体当たりやスクリューへの異物混入、乗船妨害などを行ってきました。これらの活動は、一部では環境保護のためと評価されていますが、他方では過激な行動として批判もされています。1993年の著書では、派手なドラマを演出し、相手を騙すことを推奨しているなど、倫理観に疑問の声もあがっています。

シーシェパードの活動は、ドキュメンタリー番組『クジラ戦争』として、アニマルプラネットで放送され、注目を集めています。

日本との関係

ワトソンは、日本の捕鯨活動に対して特に強い批判を行っています。1982年にはイルカ漁に抗議のため訪日。2010年には、日本の調査捕鯨を妨害した容疑で海上保安庁から逮捕状が出ており、ICPOを通じて国際手配されています。

ワトソンは、日本の捕鯨を経済的に妨害することが最善の方法だと主張し、CNNのインタビューでは「彼らは我々を殺そうとしているが、我々は彼らを負傷させていない」と述べています。また、東日本大震災直後には、津波を「海神ネプチューンの怒り」と表現する詩を投稿し、批判を浴びました。

2024年7月には、日本の赤色手配によりデンマーク自治領グリーンランドで逮捕されましたが、デンマークは日本への引き渡しを拒否し釈放されました。この決定に対し、日本政府は遺憾の意を表明しています。

その他の活動と思想

ワトソンは、菜食主義者であり、能動的な人口管理を推進しています。人間よりも動物を重視するという思想を広めようとしています。また、自身がグリーンピースの創設者であると主張していますが、グリーンピース側はこれを否定しています。

私生活

ワトソンは、過去に二度の離婚を経験しており、現在は三度目の結婚をしています。2015年には4度目の結婚をしています。

フランスでの生活

国際手配されていたワトソンは、2012年にドイツで逮捕されましたが、保釈中にフランスへ逃亡しました。フランスでは、環境問題に関する活動を継続し、書籍の出版やテレビ番組への出演も行っています。

著書

『Sea Shepherd: My Fight for Whales and Seals』(1981)
『Earthforce! An Earth Warrior's Guide to Strategy』(1993)
『Ocean Warrior: My Battle to End the Illegal Slaughter on the High Seas』(1994)
『Seal Wars: Twenty-Five Years on the Front Lines With the Harp Seals』(2002)
『Urgence!si l’océan meurt,nous mourrons』(2016)

関連項目

捕鯨問題
壱岐イルカ事件
日本の捕鯨
国際捕鯨委員会
水産庁
エコテロリズム

外部リンク

シーシェパード公式サイト - トップページ
* シーシェパード公式サイト - 声明文

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