反捕鯨

反捕鯨運動とは

反捕鯨運動とは、海洋保護を目的として、世界各地で様々な形態の捕鯨に反対する活動の総称です。この運動は、商業捕鯨、調査捕鯨、そして生存捕鯨を含むあらゆる捕鯨行為の停止を求めています。活動家たちは、クジラの保護を訴え、捕鯨国や捕鯨団体との間で衝突を繰り返しています。中には、過激な直接行動を起こす団体もあり、その手法は批判の対象となることもあります。反捕鯨運動は、環境保護運動の一環として、世界中で展開されています。

反捕鯨運動の歴史

反捕鯨運動は、他の環境保護運動と比較して、歴史は浅いです。20世紀に入り、環境保護に関心を抱く人々が、世界的な捕鯨に抗議するようになりました。この運動は、捕鯨業の拡大によるクジラの減少を背景に発展しました。1946年には、国際捕鯨委員会（IWC）が設立されましたが、当初は捕鯨国の利益を代表する組織でした。しかし、その後、反捕鯨ロビーがIWCに影響力を持ち始め、一般市民の支持も拡大していきました。

1966年には、漁業及び公海の生物資源の保存に関する条約が採択され、海洋生物の乱獲防止に向けた取り組みが始まりました。1972年には、アメリカ合衆国が海洋哺乳類保護法を制定し、海洋哺乳類の保護を強化しました。同年、海洋保護・調査・保護区法も制定され、海洋保護区が設立されました。環境団体グリーンピースは、1970年代に反捕鯨活動を開始し、世界中の捕鯨船に対抗するキャンペーンを展開しました。また、グリーンピースから派生したシーシェパードは、より直接的な行動で海洋生物の保護を目指しています。

捕鯨の一時禁止

加盟国からの圧力が高まる中、1979年にIWCはインド洋鯨サンクチュアリを設置しました。1982年には、商業捕鯨の一時禁止（モラトリアム）を採択し、1986年に発効しました。しかし、調査捕鯨は認められたため、日本は研究目的で捕鯨を再開しました。この抜け穴は、反捕鯨国や団体から批判されています。

1994年には、IWCは南極海鯨サンクチュアリを設置し、クジラの繁殖地を保護しました。1998年には、さらに2つの保護区が提案されましたが、IWCで十分な票を得られませんでした。

現代の対立

近年、IWCでの議論や審議が進む一方で、民間活動家は商業捕鯨に対する抗議活動を続けています。グリーンピースとシーシェパードは、ノルウェー、アイスランド、日本による捕鯨に対し、それぞれ独自のキャンペーンを展開しています。両団体は、メディアキャンペーンやアウトリーチ活動を通じて、問題への関心を高めています。

生存捕鯨

シーシェパードは、マカ族による伝統的な捕鯨を妨害したことがあります。一方、グリーンピースは、先住民による持続可能な生存捕鯨には反対しないという立場です。グリーンピースは、すべての商業捕鯨に反対しており、ホエールウォッチングを代替案として推奨しています。

反捕鯨活動に関わる組織と人物

組織

グリーンピース
シーシェパード
シエラクラブ
Whalewatch
世界自然保護基金

人物

ピーター・ギャレット（元ミッドナイト・オイルのボーカル、環境・国家遺産・芸術大臣）

反捕鯨運動の方法と戦術

反捕鯨運動は、環境保護活動と海洋保全活動の両方の一環として行われています。その活動内容は、抗議デモ、直接行動、アウトリーチ活動など多岐にわたります。

抗議活動

抗議デモは、反捕鯨運動の最も目に見える活動です。人々が集まり、看板や横断幕を掲げたり、デモ行進をしたりします。また、封鎖や座り込みなどの直接行動も含まれます。

直接行動

直接行動は、社会的な手段に頼らず、捕鯨を阻止するための活動です。非暴力的な行動としては、ストライキ、封鎖、職場占拠などがあります。暴力的な行動としては、サボタージュ、破壊行為、襲撃などが挙げられます。直接行動は、時に市民的不服従の形をとります。

アウトリーチ

アウトリーチ活動は、一般の人々の認識を高めるために行われます。ウェブサイト、会報、パンフレット、講演会などを通じて、反捕鯨の必要性を訴えます。政治運動やロビー活動も、変化を起こすための重要な手段です。

対立の構図

反捕鯨問題は、単なる環境問題だけでなく、文化や経済、政治的な側面も絡み合った複雑な問題です。一部の研究者は、反捕鯨運動には、日本に対する暗黙的な批判が含まれていると指摘しています。また、環境団体が資金を集めるために、反捕鯨運動をビジネス化しているという批判もあります。一方、IWCの行き詰まりは、科学的な不確実性と予防原則によるものだという主張もあります。

まとめ

反捕鯨運動は、海洋保護を目指す重要な活動です。しかし、その活動方法は、時に論争を巻き起こします。捕鯨問題は、単なる環境問題ではなく、文化、経済、政治的な側面も含む複雑な問題であり、対立の構造を理解することが重要です。

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