マアーン

マアーン（Ma'an）は、ヨルダン南部に位置する都市であり、マアーン県の県都として知られています。首都アンマンから南へ約218kmの場所に位置し、その歴史は古く、紀元前2世紀から紀元1世紀にかけて存在したナバテア王国の時代にまで遡ります。1992年の国勢調査では人口は22,989人でしたが、2007年の推計では27,573人に増加しています。

現在のマアーンの街は、古代都市の北側と西側に広がっています。かつてこの地は、エジプトからシナイ半島を通り、アカバを経てペトラ、マアーン、カラク、ラバト・アンモン、ゲラサ、ボスラ、ダマスカスといった都市を結び、さらにシリア砂漠を横断してタドモルを経由し、ユーフラテス川に至る重要な街道の要衝でした。この街道は、エドム、モアブ、アモンなどセム系の諸王国が割拠していたことから「王の道」（King's Highway）と呼ばれ、旧約聖書（民数記20章17節-20節）にもその名が登場します。現在では、アンマンから南へ伸びる15号線が、この街道の役割を担っています。

ヨルダンは比較的リベラルな国として知られていますが、マアーンには敬虔なイスラム教徒が多く居住しています。この地域独特の文化や伝統が、現代の都市生活にも色濃く反映されていると考えられます。

マアーンは、古代からの歴史と文化が息づくヨルダンの重要な都市の一つであり、その地理的な重要性から、様々な時代の歴史の舞台となってきました。現代においても、ヨルダンの南部地域における行政、経済、文化の中心地として、重要な役割を果たしています。

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