マイク・アンド・ザ・メカニックス

マイク & ザ・メカニックス（Mike + The Mechanics）は、プログレッシブ・ロックバンド「ジェネシス」の創設メンバーであるベーシスト、マイク・ラザフォードによって1985年に結成されたイングランド出身のロックグループです。

結成と初期の活動

マイク・ラザフォードのソロ・プロジェクトとしてスタートしたこのバンドは、その初期から独特の音楽性を持っていました。最大の特色は、タイプの異なる二人のボーカリストを擁したことです。パブロック・バンド「エース」で活躍したポール・キャラックと、ブルー・アイド・ソウルの歌手として知られるポール・ヤング（同名の他アーティストとは別人）が参加し、楽曲に応じてメインボーカルを使い分けるスタイルを確立しました。これにより、バンドのサウンドに幅広い表現力がもたらされました。

1985年にリリースされたセルフタイトルのファースト・アルバム『マイク & ザ・メカニックス』は、収録曲「サイレント・ランニング」が全米シングル・チャートで6位、「ミラクル」が5位を記録するなど、早くから成功を収めました。

世界的成功

バンドのキャリアにおいて決定的なターニングポイントとなったのは、1988年に発表されたセカンド・アルバム『リヴィング・イヤーズ』です。このアルバムからのシングルカット曲「ザ・リヴィング・イヤーズ」は、全米シングル・チャートで1位を獲得する大ヒットとなり、世界中で大きな注目を集めました。この楽曲はグラミー賞にもノミネートされ、マイク & ザ・メカニックスはマイク・ラザフォードの単なるサイドプロジェクトから、独立した人気バンドとしての地位を確立しました。

変遷と活動休止

その後もバンドは活動を続けましたが、2000年にボーカリストのポール・ヤングが心臓発作のため死去するという悲劇に見舞われます。彼の死後、バンドは2004年に『マイク & ザ・メカニックス & ポール・キャラック』名義でアルバム『リワイアード』をリリースしましたが、この後、活動を一時休止しました。

再始動

2010年、マイク・ラザフォードはメンバーを一新し、マイク & ザ・メカニックスとしての活動を再開します。新たなラインナップには、ボーカルとしてアンドリュー・ローチフォードとティム・ハワーが加入し、再びダブルボーカル体制となりました。この新体制で、バンドは翌2011年に7年ぶりとなるスタジオ・アルバム『The Road』を発表。その後も精力的に活動を続け、2017年には『Let Me Fly』、2019年には『Out Of The Blue』といったアルバムをリリースしています。

主要メンバー（時期別）

現行ラインナップ（2010年以降）: マイク・ラザフォード (ベース、ギター), アンドリュー・ローチフォード (ボーカル、キーボード), ティム・ハワー (ボーカル), アンソニー・ドレナン (ギター、ベース), ルーク・ジュディ (キーボード), ゲイリー・ウォリス (ドラムス)
初期〜中期（1985年〜2004年）: ポール・キャラック (ボーカル), ポール・ヤング (ボーカル), ピーター・ヴァン・ホーク (ドラムス), エイドリアン・リー (キーボード)

ディスコグラフィ（主要作品）

スタジオ・アルバム: 『マイク & ザ・メカニックス』(1985), 『リヴィング・イヤーズ』(1988), 『ワード・オブ・マウス』(1991), 『黄金の浜辺にて』(1995), 『マイク & ザ・メカニックス (M6)』(1999), 『リワイアード』(2004), 『The Road』(2011), 『Let Me Fly』(2017), 『Out Of The Blue』(2019)
主なシングル: 「サイレント・ランニング」(1985), 「ミラクル」(1986), 「リヴィング・イヤーズ」(1988), 「オーバー・マイ・ショルダー」(1995)

マイク & ザ・メカニックスは、マイク・ラザフォードの音楽的探求から生まれ、特に感動的なバラード「ザ・リヴィング・イヤーズ」の成功により、80年代後半から90年代にかけて世界的な人気を博しました。メンバーの変動を経て現在も活動を続ける、イギリスを代表するバンドの一つです。

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