マイク・ブッチ

マイク・ブッチ：プロレスラーとしての輝ける軌跡と苦難

1972年生まれのマイク・ブッチは、アメリカ合衆国ニュージャージー州出身のプロレスラーです。彼のキャリアは、アイアン・マイク・シャープのトレーニングスクールで培われた技術を土台に、1992年のデビューから始まりました。

ECWでの活躍とbWo：ハリウッド・ノヴァの誕生

1996年、ブッチは極めて重要な転換期を迎え、ECW（Extreme Championship Wrestling）に参戦します。ここで彼は、スティービー・リチャーズやブルー・ミーニーらと共に、当時WCWで絶大な人気を誇っていたnWo（New World Order）のパロディユニットであるbWo（Blue World Order）を結成。その中で、ハリウッド・ノヴァというリングネームで活躍し、華々しいキャリアの第一歩を踏み出します。派手なパフォーマンスと、nWoリーダーであるハリウッド・ハルク・ホーガンを彷彿とさせるキャラクターは、たちまちファンの心を掴みました。ECW崩壊後も、彼はインディ団体を転戦し、日本にもFMW、ZERO-ONEなどの団体に参戦しています。

WWEでのヒールキャラクター：サイモン・ディーンの時代

2002年、ブッチはWWEと契約を結び、OVW（Ohio Valley Wrestling）でヘビー級王座と南部タッグ王座を獲得。そして2004年、彼はサイモン・ディーンという新たなリングネームでRAWにデビューします。ここでは、ヒールのフィットネス・インストラクターという個性的なキャラクターを確立。「サイモン・システム」という独自のダイエット商品を売り込み、太った観客を愚弄するなど、観客の反感を買いながらも注目を集めました。クリス・ジェリコを破るなど、活躍を見せる一方、次第にジョバーとしての役割が増えていきます。2005年のWWE日本公演では、曙とリング上で対決するなど、重要な役割を担いました。同年、SmackDown!に移籍し、ECW One Night Stand 2005では、ハリウッド・ノヴァとして再びbWoの一員として出場するなど、二つの顔を持つレスラーとして存在感を示しました。しかし、2006年には選手活動をフェードアウトし、下部団体のブッカーへと転身。しかしながら、WWEのウェルネス・ポリシー違反により、2007年には解雇されてしまいます。

プロレス界への復帰と新たな挑戦

WWE解雇後はモーゲージ・ブローカーとして第二の人生を歩み始めましたが、2009年にはイギリスのプロレス団体1PWのECWリユニオン・ショーで、ハリウッド・ノヴァとして見事なリング復帰を果たします。bWoの盟友であるブルー・ミーニーとのタッグで、1PWタッグ王者に挑戦。その後もイギリスのインディ団体にスポット参戦し、ECW時代の盟友フランシーンが主催するリユニオン・ショーにも参加。さらに、2010年にはTNAのECWリユニオン・ショーにも参戦するなど、プロレス界にその名を刻み続けました。

得意技：多様な技のレパートリー

ブッチは、数々の個性的な得意技を有していました。サイモン・ディーン時代のフィニッシャーである「サイモナイザー」は、相手の腕を取り素早く叩きつける技で、吉野正人のライトニング・スパイラルと同型技。ECW時代からのフィニッシャーである「クリプトナイト・クランチ」は変型デスバレーボムで、デイブ・フィンレーのケルティック・クロスと同型技。その他にも、「ノヴァケイン」「ノヴァ・レッグドロップ」「カーブ・ストンプ」「スレッジ・オーマチック」「スマッシュ・マウス」「ノヴァミサイル」「ブルーライト・スペシャル」など、多彩な技を駆使し、観客を魅了しました。

タイトル獲得歴

彼のキャリアにおいて、数々のタイトルを獲得しています。OVWヘビー級王座、OVW南部タッグ王座、NEWライトヘビー級王座、CWSタッグ王座、ECWAタッグ王座、そしてAWCヘビー級王座など、その実力は折り紙つきです。

まとめ

マイク・ブッチは、リングネームを変えながら、ECW、WWE、そしてインディ団体と、長きに渡りプロレス界で活躍した、実力と個性豊かなレスラーです。ヒールとして観客を挑発しながらも、そのパフォーマンスには多くのファンを魅了する力がありました。WWE解雇という苦難を乗り越え、プロレスラーとしてリングに舞い戻った彼の物語は、プロレス界における不屈の精神を示す、一つの象徴と言えるでしょう。

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