マイケル・コーコラン

マイケル・コーコラン：アイルランド移民から北軍の英雄へ

マイケル・コーコラン（Michael Corcoran, 1827年9月21日 - 1863年12月22日）は、アイルランド生まれのアメリカ合衆国の軍人です。南北戦争において北軍の将軍として活躍し、エイブラハム・リンカーン大統領とも親交が深かったことで知られています。

生い立ちとアメリカへの移民

コーコランは、アイルランドのスライゴ県バリーモート近郊で、イギリス軍士官の父と、ジャコバイト戦争に参加した初代ルーカン伯の血を引く母の間に生まれました。18歳で税務警察官に選ばれ、違法な蒸留酒の取り締まりに従事しました。

1849年、コーコランはアメリカ合衆国へ移民し、ニューヨーク市で職を得ました。その後、第69ニューヨーク民兵隊に入隊し、1859年には大佐に任命されます。1860年、イギリス皇太子の歓迎パレードへの参加を拒否したことで軍法会議にかけられそうになりますが、南北戦争の勃発により中断されました。

南北戦争での活躍

南北戦争が始まると、コーコランは第69ニューヨーク歩兵連隊を率いてワシントンD.C.へ向かい、ワシントン防衛に尽力しました。第一次ブルランの戦いでは連隊を指揮しましたが、自身は負傷し捕虜となります。

当時、北軍は捕獲した南軍の私掠船員を処刑すると脅しており、北軍が実行した場合、コーコランを含む北軍捕虜が処刑される可能性がありました。この事件は「魔女事件」と呼ばれました。南軍から攻撃をしないことを条件に仮釈放を提案されましたが、北軍の地位に戻ることを望んだコーコランは拒否しました。

1862年、志願兵の准将に指名され、捕虜交換で釈放されたコーコランは、リンカーン大統領との食事会に招待されます。その後、アイルランド系志願兵からなる「コーコラン師団」を立ち上げ、指揮を執りました。デザーティドハウスの戦いやサフォーク包囲戦に参加した後、第22軍団の師団長としてワシントン防衛任務に戻りました。

突然の死と英雄としての記憶

1863年12月22日、コーコランは単独で騎乗中に落馬し、頭蓋骨骨折により36歳の若さで亡くなりました。その死は、彼が率いたアイルランド系アメリカ人部隊によって深く悼まれました。彼の名前と第69連隊は、当時多くのアイルランド系北軍兵のバラードに登場し、その勇姿は歌い継がれています。

バリーモート記念碑

2006年、コーコランの故郷であるバリーモートに、戦う第69連隊に捧げられた記念碑が建立されました。記念碑には、彼の名前やゆかりの地名とともに、ワールドトレードセンターの鉄片が埋め込まれています。

マイケル・コーコランは、アイルランド移民としてアメリカに渡り、南北戦争という激動の時代に北軍の将軍として活躍した英雄です。彼の勇気と愛国心は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索