マイケル・ゴーヴ

マイケル・ゴーヴ：イギリス保守党の重鎮、EU離脱の旗手

マイケル・アンドルー・ゴーヴは、イギリス政界における重要な人物の一人です。保守党所属の庶民院議員として、教育大臣、司法大臣、環境・食糧・農村地域省担当大臣、ランカスター公領大臣など、数々の要職を歴任しました。スコットランド生まれで、オックスフォード大学卒業後、『タイムズ』紙記者を経て政界入り。2005年に初当選を果たしています。

彼の政治キャリアは目覚ましく、キャメロン内閣では教育大臣、その後司法大臣に就任。保守党党首選にも2度挑戦しましたが、2016年には第2回投票で、2019年には最終投票直前で敗退しました。2019年の党首選では、過去のコカイン使用を公表するなど、注目を集めました。ボリス・ジョンソン首相の下では、ランカスター公領大臣に就任。その後、住宅・コミュニティ・地方自治大臣を務めた後、2022年にはジョンソン首相に辞任を勧告したことで解任されています。

ゴーヴは熱心なクリスチャンであり、クリスチャン・シオニストとしても知られています。しかし、彼の政治的アイデンティティを最も特徴づけているのは、EU離脱派としての立場です。

EU離脱への強い主張

2016年のEU離脱国民投票において、ゴーヴは強力な離脱派として活躍しました。彼は、EU加盟がイギリスの自由、公正さ、経済状況を阻害していると主張。EUの規制が失業率を高め、移民政策が難民流入を招いていると批判しました。

ゴーヴは、EUの権力が国民ではなくエリート層に集中していると指摘。欧州委員会が制定する膨大な数の法律が、イギリスの議会や国民の意思を反映していないと主張し、それらの法律がイギリスの経済的繁栄にも貢献していないと批判しました。彼は、EUの大企業を優遇するような規制を撤廃し、新規ビジネスを支援する必要性を強調しました。さらに、EUのエリート層がイギリスのEU離脱に反対するのは、離脱後のイギリスの成功がEUの失敗を露呈させることを恐れているからだと主張しました。

ゴーヴは、EU離脱によってイギリスが再生し、大陸ヨーロッパの民主主義をも解放する可能性があると信じていました。彼は、EU離脱はイギリスだけでなく、ヨーロッパ全体の未来にとってエキサイティングな転換点になると述べています。

移民問題への懸念

ゴーヴはEUの拡大と移民問題の深刻さを指摘しました。特に、アルバニア、マケドニア、モンテネグロ、セルビア、トルコのEU加盟によって、数千万人のEU市民がイギリスの社会福祉制度を利用できるようになり、住宅、雇用、賃金などに大きな影響を与えることを懸念していました。彼は、アルバニアからの移民増加によって英国の犯罪率が高まっているという懸念も表明し、EU離脱による出入国管理の強化の必要性を訴えました。

テリーザ・メイ内務大臣も、アルバニアなどのEU加盟に懸念を示していたことをゴーヴは指摘し、自身の主張を裏付けています。ゴーヴは、イギリスの刑務所に収監されている外国人犯罪者の割合を示し、アルバニア出身者の割合の高さを強調しました。

これらの主張は、ゴーヴのEU離脱への強い決意と、移民問題に対する懸念を明確に示しています。彼の政治的経歴と主張は、現代イギリス政治における重要な議論を理解する上で、貴重な視点を提供しています。

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