マイネルト基底核

マイネルト基底核（Nucleus basalis of Meynert）

マイネルト基底核（NBM）は、前脳基底部の無名質に位置する神経細胞群であり、新皮質への広範な投射を行う重要な構造です。このニューロン群は、特にアセチルコリンやその合成に関与するコリンアセチルトランスフェラーゼを豊富に含んでおり、神経伝達物質の放出と関連しています。アセチルコリンは脳内での情報伝達に不可欠で、認知機能の維持に重要な役割を果たします。

臨床的意義

NBMは、加齢や変性に伴いアセチルコリンの産生が減少することが知られており、この減少は様々な神経変性疾患と深く関わっています。特に、アルツハイマー病やレビー小体型認知症、パーキンソン病において、これらの疾患は記憶力や精神的な活動の低下を引き起こすことがあるため、NBM機能の低下が関与していると考えられています。これらの疾患に対する多くの治療法は、NBMの機能を補完することを目指し、アセチルコリンのレベルを高めることに焦点を当てています。

解剖学的特徴

解剖学的に見ると、NBMは淡蒼球の下に位置し、無名質の中に存在します。この構造は、視覚情報処理や注意の調節において重要な役割を果たしています。

コリン作動性ニューロン

NBMに含まれるコリン作動性ニューロンは、視覚の認知における現実と仮想現実のバランスを調整する機能が特に重要です。これらのニューロンが活性化されることで、注意の配分が変化し、新たな刺激に対してより多くの焦点を当てるようになります。GoardやDan、Kuoらによっても同様の所見が報告されており、認知機能と注意の関係についての理解が進んでいます。また、1984年にはGerrard Reopitによってもこの現象が確認されています。

名前の由来

「マイネルト基底核」という名前は、19世紀の神経科学者Theodor Meynertに由来しています。彼の研究はこの神経群の理解を深める重要な道標となりました。

参考文献

この記事には、パブリックドメインであるグレイ解剖学第20版（1918年）の一部が含まれています。

外部リンク

• - location at univ-rennes1.fr

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