マイボーム腺

マイボーム腺についての詳細

マイボーム腺（Meibomian gland）は、まぶたの縁に位置する特殊な皮脂腺で、主に涙液膜の蒸発を防ぐ重要な役割を担っています。この腺は、目の涙が頬に落ちることを防ぎ、また閉じたまぶたの内側の気密性を維持するために必要な油性物質を分泌します。マイボーム腺は上まぶたに約50本、下まぶたに約25本存在し、それぞれのまぶたに特有の分布があります。1868年にドイツの医師、ハインリッヒ・マイボームの名に由来して名付けられました。

この腺が分泌する物質には多くのタンパク質が含まれており、ヒトのマイボーム腺からは90種類以上の異なるタンパク質が確認されています。これらの成分は、涙液膜の質を保ち、目の健康を維持するために欠かせないものです。

マイボーム腺の機能障害

しかし、マイボーム腺の機能が不全に陥ることがあります。この状態はドライアイを引き起こすことが多く、乾燥した眼球によって、まぶたが皮膚の小さな部分をこすり取ってしまい、眼瞼炎と呼ばれる炎症を引き起こす原因となります。さらに、マイボーム腺の炎症（マイボーム腺炎や機能不全）は。腺が濃い分泌物で塞がれると、腫瘤が形成され、これを霰粒腫（あられりゅうしゅ）と呼びます。これらの症状は、脂腺癌と似た症状を呈することがあります。

マイボーム腺に問題が生じると、ドライアイに加えて、細菌によるリパーゼという酵素が腺の閉塞を悪化させます。このことにより、遊離脂肪酸が生成され、目の刺激が増し、点状表層角膜炎を引き起こすこともあります。これらの状態は視界に影響を及ぼし、日常生活に支障をきたすことがあります。

予防とケア

マイボーム腺の健康を保つためには、目の衛生状態を良好に保つことが重要です。具体的には、適切なまぶたの清掃や、目の乾燥を防ぐための点眼薬の使用、さらには環境の湿度を保つことが推奨されます。また、目を酷使することが多い場合は、適度な休憩を入れることで、腺の機能を保つのに役立ちます。このような日常的なケアを行うことで、マイボーム腺の障害を未然に防ぐことができる可能性があります。

まとめ

マイボーム腺は、目の健康を支える非常に重要な役割を果たしています。これらの腺が正常に機能しない場合、ドライアイや眼瞼炎、さらには重篤な合併症を引き起こす可能性があります。定期的な眼科検診や、日常的な目のケアを通じて、マイボーム腺の健康をしっかりと守りましょう。

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